フィギュアスケート女子元日本代表の中野友加里さん(35)が、11月1日にYouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」を開設する。このほどサンケイスポーツの取材に応じ、ユーチューバーとして今後の展望を語った。審判員としても活動しており、コロナ禍の中で本格化した2022年北京冬季五輪プレシーズンに挑む選手たちにもエールを送った。(取材構成・石井文敏)
中野さんが新境地を開拓だ。3度の世界選手権代表など第一線で長く活躍したスケーターは現役引退後、フジテレビ社員に。昨年退社した2児の母は来月、ユーチューバーデビューを果たす。
「このチャンネルでしか話せないものができたらいい。子供たちに向けたフィギュア講座や、大会時には解説など旬な情報もお届けしたい。今からワクワク、楽しみです」
21年間の競技人生の経験を生かし、より多くの人々に競技の魅力を伝えたいという思いから立ち上げる。プログラムや衣装の選定など演技制作の過程をはじめとした裏側も紹介。冬季五輪2連覇の羽生結弦(25)=ANA=らが活躍する今のフィギュア界の現状にも切り込んでいくという。
中野さんは、世界で女子史上3人目となるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させた氷上のスター。ドーナツスピンも武器として、2006年トリノ冬季五輪女子シングル金メダルの荒川静香さん(38)らとともに日の丸を背負った。現役当時、演技への絶賛を込め世界から「クレージーガール」と呼ばれるようになった秘話なども披露しながら、22年北京冬季五輪プレシーズンを盛り上げていく。
今季は新型コロナウイルス感染拡大により、グランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダ、同4戦フランス杯が中止になるなど不透明な情勢が続いている。それでも、国内大会はコロナ対策に努めながら無観客で実施されている。
「選手たちはどんな状況でも(自分の)パフォーマンスを発揮してほしい。観客の大切さはあるけど、ジャッジは観客の喝采や不満を(採点に)考慮してはいけない。目線や、演技と音楽が一体化できているかなど、細部までチェックしています」
B級審判資格を取得している中野さんは、9月末の中部選手権(名古屋市)で今季初めてジャッジ席に座った。無観客だったが、自らを奮い立たせて氷上で力強く演技する選手たちが印象に残った。「ジャッジ目線では、素の状態の選手たちが見られたと思っています」。12月には全日本選手権(24-27日、長野・ビッグハット)が有観客で開催予定。「かみしめて大会に臨んでほしい」とエールを送った。
今後、同チャンネルを通じて競技ファンとの交流も深めていくと方針だ。「皆さんの生活に、フィギュアスケートがゆかりあるものになればうれしい」。引退後も挑戦を続ける中野さんの動画配信は必見だ。