大相撲の出稽古が16日、約7カ月ぶりに解禁され、横綱白鵬(35)、新大関正代(28)ら関取9人が参加した。新型コロナウイルス感染予防で3月の春場所後から禁止されていたが、東京・墨田区の両国国技館内の相撲教習所で「合同稽古」として実施された。9月の秋場所後の横綱審議委員会(横審)で度重なる休場を問題視された白鵬は、11月場所(8日初日、国技館)の「結果」で答えを返す。
◆8月右膝手術も「間に合った」
関取衆の人数こそ少ないが、白い稽古まわしを締めた白鵬らが姿を見せただけで稽古場の空気がにわかに活気づく。白鵬は「久しぶりですね。気持ちよかった」。相撲は取らなかったが、ぶつかり稽古では秋場所後に昇進した新大関正代に胸を出し、「勢いがあるから、こっちも勢いをもらわないとね」と笑みを浮かべた。
8月に右膝の内視鏡手術を行った横綱は「ぎりぎりまで(合同稽古へ)行けるかどうか体と相談をして。間に合ったなという感じ」と説明する。
秋場所後の横審では白鵬、鶴竜の両横綱に物言いがついた。ともに途中休場した7月場所に続き、2人ともけがを理由に秋場所も全休。一部の横審委員からは内規にある「激励」「注意」などの決議を求める厳しい意見が出された。白鵬は直近6場所中4場所、鶴竜は5場所の休場。今回は「自覚を注視していく」と決議は見送られたが、横綱の責任が問われている。
◆「もう少し分かってもらいたい」
白鵬は「30歳を超えてどうしてもけがが増えてしまう。横綱の勝ち越しは12勝だと思っているし、出るからには変な相撲は取れないという強い気持ちがある」と胸の内を明かした。
横審はこれまでも、白鵬の問題行動をいさめている。平成29年九州場所後には「万歳」を、令和元年春場所後には「三本締め」、同年九州場所後には「張り手」「肘打ち」が指摘された。白鵬はいずれもけがのため翌場所を休場しているが、15日間出場した2場所以内に賜杯を抱いている。
「けがから帰ってきたときにしっかり成績、結果を出している。その辺をもう少し分かってもらいたいな、とも思いますけどね」。穏やかな苦笑いに、反転攻勢の決意がにじむ。(奥村展也)
★関取9人、幕下力士10人参加
合同稽古は出稽古の希望者を集めて22日まで行われる。PCR検査で陰性が確認されたことが条件で、この日は十両以上の関取9人、幕下力士10人が参加した。
力士は本場所初日の2週間前の番付発表後から出稽古をして申し合い(勝った者が何度も取る)などを本格化させるが、本場所への影響を考慮して異例の時期の出稽古解禁となった。教習所長で合同稽古の監督責任者の花籠親方(元関脇太寿山)は「前進してよかった。新しい形。稽古の方法は変わった」とした。