元宝塚歌劇団娘役トップの女優、純名里沙(47)が近年、活動を音楽にシフトしている。宝塚時代は屈指の歌姫として活躍する一方、NHK連続テレビ小説「ぴあの」でヒロインを演じて国民的存在に。退団後、女優に転身したが、40代になり、ある出来事をきっかけに音楽と真剣に向き合うことになった。今夏は東名阪ツアーを展開中。新しい表現を模索する純名は「良い波動を届けられる歌手になりたい」と真摯に語った。(ペン・小山理絵、カメラ・福島範和)
宝塚時代、10年に1人のプリマドンナと呼ばれた歌姫はいま、改めて音楽と真剣に向き合っている。
3月に発売したアルバム「う・た・が・た・り」で作詞と作曲に初挑戦し、今月は同作を携えた東名阪ツアーを展開中。
「今までは(演出家らから)与えられたものをいかに自分で消化し、表現できるかということに重きを置いていました。曲を作るという生みの苦しみはありますが、パズルがはまった瞬間は得も言われぬ感動があり涙が出ますね。自分の曲はほかの誰も歌っていないからか、不思議とどんな曲よりも自信を持って歌えるんです」
少女時代からミュージカルで音楽に親しみ、首席入団した宝塚では初舞台公演のフィナーレで最初に独唱するエトワールを務めた。新人では異例の大役。入団4年目に、現役タカラジェンヌとしては初めて朝ドラのヒロインになり、劇中でも美声を響かせた。
「宝塚にいたからこそ、いろいろな経験をさせていただいた。大きな役ばかりで、一生懸命頑張らなきゃと必死でした。本当はのどが強くはなくて、しょっちゅう風邪をひいたり。朝になって声が出るか不安で、開演前に吸入していたことを思い出します」
25歳で退団し、女優として舞台やドラマに出演していたが、40歳を迎えるころに人生や仕事の方向性に迷い、精神的に落ち込んでいたという。
その矢先に東日本大震災が起き、「生かされているとは何だろうと考えて、1年間、仕事を離れました。料理教室に通ってみたり、どうやって生きていこうかと模索する中、癒やしになったのが音楽でした」。