女優のミムラが、芸名を美村里江(みむら・りえ)に改め、新たなスタートを切った。
先日、取材で久しぶりに本人と会った。「今日はわざわざ来てくださり、ありがとうございます」。冒頭、深々と頭を下げ、あの人なつっこい笑顔を見せる。礼儀正しい態度は何年経っても変わらない。
さっそく改名の話に驚いたことを告げると「なぜこのタイミングかって感じですよね(笑)。でも、私の中では、ずっと考えていたんです」と、まっすぐな視線を向けながら話し始めた。
もともと大好きな童話「ムーミン」のマイナーキャラクター、ミムラ姉さんを知ってもらいたくてつけた芸名がミムラ。2003年、ヒロインを一般公募したフジテレビ系月9ドラマ「ビギナー」で芸能界デビューしたが、当初はこんなに長く活動するとは思っていなかった。
「やる気がなかったわけではないんですけど、単純にプロの世界に素人が入って、そんなに居続けられるはずがないと思っていたんです」。
だが、想像以上に仕事は続いた。しかも常に主要キャスト。2006年末、そんな仕事のプレッシャーに押しつぶされそうになり、一時休業。もう一度、自分の人生を見つめ直した。
2年後、女優業を再開すると決めたとき、実は改名を考えた。「でも、やっぱりミムラの名前で作品に起用していただいた方々に、まだ恩返しが済んでいないなと思って。できればミムラの名前のまま、もう少し役者として自立しようと」と思いとどまった。
その後、15年8月にNHKドラマ「経世済民の男 高橋是清」でオダギリジョーと、同年11月にWOWOWドラマ「5人のジュンコ」で松雪泰子と共演。「ビギナー」の共演者と、いつかもう一度違う作品で共演するという一つの目標をかなえた。