「あんたのバラード」を作ったのは大阪芸大4年のとき。バンドでセッションするための曲だった。泥臭いヘビーな詩だけど、僕にとってはあれがリアルな言葉。広島の生まれだけど、大阪に来てからは吉本新喜劇も見ていたしね。ブルースには大阪弁が似合う。「君」や「あなた」じゃない。「あんた」がしっくりくるんだ。
僕たちの世代は日本語でロックをやるのに抵抗はなかった。その頃、浜田省吾さんの愛奴や、矢沢永吉さんのキャロル、憂歌団、外道、ジョー山中さん…すごい日本語ロックのミュージシャンがいるのに、ヒットチャートを上がってこない。大阪の言葉の歌を全国区にしたいという思いはありましたね。
バンドでよく集まっていたのが近鉄奈良線の瓢箪山駅(東大阪市)近くにあった楽器店で、奥がスタジオになっていた。そこの店員さんがヤマハのポプコン(ポピュラーミュージックコンテスト)に僕たちの演奏を録ったテープを送ってたんだ。「テープ審査、通ったよ」って言われて初めて知った。