トランプ氏、大統領選まだまだ多難 出馬資格、最高裁が認定したが…山積する司法問題

4日、米南部フロリダ州の私邸マールアラーゴで話すトランプ前大統領(AP=共同)
4日、米南部フロリダ州の私邸マールアラーゴで話すトランプ前大統領(AP=共同)

【ワシントン=大内清】米連邦最高裁が4日、共和党のトランプ前大統領(77)について大統領選の出馬資格を認める決定を出した。出馬資格を判断する資格は各州にないと判断し、予備選からの除外を決めた西部コロラド州最高裁の判決を覆した。トランプ氏は共和党の指名獲得に向けた法的なハードルを一つ越えた形。ただ、トランプ氏は起訴された4つの刑事事件やビジネス関連の民事訴訟を抱えており、11月の本選に向けて今後も司法問題が足かせとなりそうだ。

コロラド州最高裁は昨年12月、2021年1月の連邦議会襲撃事件に絡み、トランプ氏を共和党指名争いの州予備選から除外する決定を下した。「国家への反逆」に関わった者の公職就任を禁じた憲法修正14条が適用されると判断した。

これに対して連邦最高裁は4日、判事9人の全員一致で、修正14条の適否を決定する権限は「州ではなく連邦議会にあり、従ってコロラド州最高裁の判断は有効ではない」と判示した。

この問題では、東部メーン州の州務長官や中西部イリノイ州の裁判所もトランプ氏の出馬資格を認めない判断を示していたが、州レベルの決定は一律に無効とされた。トランプ氏は4日の声明で「米国にとって大きな勝利だ」と述べた。

トランプ氏を巡る司法問題はこれだけではない。起訴された4事件のうち、不倫関係にあったポルノ女優への口止め料支払いを巡る虚偽記載では、東部ニューヨーク州地裁で今月25日に陪審員の選定手続きが始まる。

20年大統領選の敗北を覆すために公的手続きの妨害を共謀したとされる事件では当初、今月4日に初公判が予定された。トランプ氏側が大統領在任中の「免責特権」を主張し、連邦最高裁が審理を決めたことで公判日程は大幅にずれ込む見込み。免責が認められなかった場合は本選前にも評決に至る可能性がある。

退任後に機密文書を私邸に持ち出したとされる事件は夏ごろ公判が始まる公算が大きい。20年大統領選で南部ジョージア州の開票に干渉した疑惑では、担当検事の適格性を巡る争いが進行中だ。

米メディアによると、手元の政治資金(今年1月末時点)はトランプ陣営が約3千万ドル(約45億円)で、民主党のバイデン大統領(81)陣営の5600万ドルを大きく下回る。トランプ氏は訴訟費用の多くを政治資金の流用でまかなっているが、7月ごろに底をつくとも予想されている。

米最高裁がトランプ氏出馬認める決定

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