「五輪に行きたかった…」西山雄介、41秒届かず泣き崩れる 東京マラソン日本勢最上位9位

日本勢としては1位でフィニッシュした西山雄介=3日、東京都千代田区(納冨康撮影)
日本勢としては1位でフィニッシュした西山雄介=3日、東京都千代田区(納冨康撮影)

東京マラソンは3日、パリ五輪男子代表の残り1枠を争う「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジ」最終戦として、東京都庁前から東京駅前のコースで行われ、2022年世界選手権代表の西山雄介(トヨタ自動車)が2時間6分31秒で日本勢最上位の9位に入った。日本陸連の設定タイム2時間5分50秒を突破できず、昨秋のMGC3位だった大迫傑(ナイキ)の2大会連続五輪マラソン代表入りが決まった。

ゴール直後、日本人最上位の9位で走りきった西山雄は、両手で顔を覆い泣き崩れた。自己記録(2時間7分47秒)を1分以上更新したものの、2時間5分50秒の設定記録まで41秒足りず、パリ五輪代表の切符を獲得できなかった。「五輪に行きたかった…」。絞り出すように話した。

厳しい戦いだった。前半からペースが細かく上下動し、下り基調の最初の5キロは「思っていたより遅かったので予想外だった」。19キロ付近では、集団の中で前の選手と脚がぶつかり転倒した。冷静さを失わず、35キロ手前では五輪2連覇中のキプチョゲを抜く見せ場を作った。ここから少しずつ失速し力尽きた。涙が止まらなかった。

パリ五輪代表選考会だった昨秋のMGCで46位と惨敗。自信を砕かれた。どん底から立ち直るきっかけを作ってくれたのは、2022年に生まれた娘だった。日々、急速に成長していく姿を目にして「僕自身も成長していきたいと感じた」という。練習やケアを見直しながら、東京に合わせて調整してきた。

日本人トップにならなければ代表につながらない状況で「その1枠は自分のものと、ずっと思って練習してきた」と振り返る。結果を残せなかった。「すべてをここにかける思いでやってきた。今後というのは、考えていない」。失意は大きく、表情は硬いままだった。(小川寛太)

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