皇居歩きに「イラストマップ」 スマホでも一覧、〝初心者〟目線でわかりやすく

宮内庁が新たに作成した「皇居イラストマップ」の一部(宮内庁ホームページから)
宮内庁が新たに作成した「皇居イラストマップ」の一部(宮内庁ホームページから)

ようこそ皇居へ-。皇室の情報発信強化を進める宮内庁のホームページ(HP)に今月、こんな題字とともに、皇居の見どころやアクセス情報などを集約した「皇居イラストマップ」が登場した。昨年4月に発足した同庁広報室が、外国人観光客や、旅行客など皇居になじみのない〝初心者〟目線で作成。HPのほか、周辺の駅やホテル、観光案内所なども通じて周知を進めている。

イラストマップは、日本語版と英語版を作成。宮内庁のHPや、皇居・東御苑の各門に掲示された2次元コードを読み取ってスマートフォンなどで利用できるほか、印刷して使えるPDF版も発行。今月1日から公開を始めた。

これまで同庁のHPには、皇居全体の配置図や交通機関の案内、各施設の紹介などが独立した形で掲載されていた。各項目をクリックすれば詳細な説明が閲覧できるものの、一覧性のある観光客向けのツールがないことが難点だった。

皇居・東御苑に入るため、大手門へ向かう外国人観光客ら=20日午後、東京都千代田区
皇居・東御苑に入るため、大手門へ向かう外国人観光客ら=20日午後、東京都千代田区

外部からの視点

作成のきっかけは、他省庁や民間からも人材を登用した昨年4月の広報室立ち上げで、宮内庁の外部から着任した職員らが感じた皇居内の各施設の「アクセスの分かりにくさ」だった。皇居には一般の人の立ち入りが可能なエリアと、そうでないエリアがあり、出入りできる門や時間も限られている。こうした情報を持たない観光客らが警察や職員に道を尋ねたり、目的地を探してさまよったりする光景もあり、「旅行者の目線でマップを作成できないか」と構想を始めた。

新たに作成したマップでは、無料のガイドツアーである「皇居一般参観」の受付時間、公開エリアを自由に散策できる皇居・東御苑の案内情報をはじめ、Wi―Fi(ワイファイ)環境や主要駅との位置関係など、観光に必要な情報が一覧できるように。

ドローンやアルコールなどの「持ち込み禁止」や、駐輪場・駐車場がないこと、補助犬を除く動物が入園できないことなど、注意事項も併記し、あらかじめ確認してもらうことでトラブルの未然防止も図る。

関心持つ機会に

マップには、皇居の全体像だけでなく、カラフルなイラストや写真を使い、各施設の背景なども説明。江戸城の城郭の名残や、日本の伝統文化を伝えるさまざまな施設、四季折々の豊かな自然など、「皇居の価値の発信」も大きな目的だという。

藤原麻衣子・広報室長は「外から訪れる人の目線で、わかりやすさ、使いやすさ、一覧性を大切にした。利便性の提供と同時に、天皇陛下のお住まいである皇居の魅力を伝えることで、皇室への関心を喚起するきっかけになれば」としている。(緒方優子)

皇居のイラストマップ(日本語版)

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