中央委員歴60年「共産党のレジェンド」不破哲三氏、ついに第一線退く 今月94歳の誕生日

共産党大会に出席した不破哲三前議長(後列左)=15日、静岡県熱海市
共産党大会に出席した不破哲三前議長(後列左)=15日、静岡県熱海市

共産党の不破哲三前議長(93)が中央委員から外れることが17日、決まった。18日の党大会で正式決定し、引き続き「名誉役員」となる方向だが、委員長、議長を通算四半世紀近く務めた党の理論的支柱が第一線から引く形となる。

今月26日で94歳を迎える不破氏は「党のレジェンド」とも呼ばれる。戦後、合法化された共産党に16歳で入党し、東大卒業後に労働組合勤務などを経て昭和39年に党中央委員に就任。約60年間にわたり中央委員を務めてきたことになる。

2015年11月、「戦後70年・語る・問う」のテーマで講演した不破哲三・前共産党委員長=東京・内幸町の日本プレスセンター(古厩正樹撮影)
2015年11月、「戦後70年・語る・問う」のテーマで講演した不破哲三・前共産党委員長=東京・内幸町の日本プレスセンター(古厩正樹撮影)

44年の衆院選で初当選し、平成15年まで11期務めた。この間の昭和45年に党中興の祖といわれた宮本顕治氏の抜擢で書記局長に40歳で就任。57年に宮本氏の後継の委員長に就いた。一時委員長を退いたが、その後復帰し、平成12年まで通算約17年にわたり務めた。

不破氏が国会で論戦を演じた首相は佐藤栄作氏から森喜朗氏まで15人以上に及ぶ。党綱領の改定に深くかかわり、綱領解説やマルクス主義などに関する著書は多数に上る。

委員長退任後は平成18年まで議長を務め、現在も党社会科学研究所所長の肩書を持つ。党決定に深くかかわる最高指導部の常任幹部会委員も務めてきた。

国会以外でも党の顔となり、委員長時代の10年参院選で過去最高の比例819万票を獲得すると、「スマイリング・コミュニスト(微笑する共産主義者)」としてその年の流行語大賞特別賞を受賞。趣味の山登りの「講師」として民放の子供向けバラエティー番組に出演したこともある。

共産・不破前議長、93歳で中央委員を退任へ 名誉役員に

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