翠富士、必殺の肩透かしで綱取り大関に土 大相撲初場所4日目

〇翠富士(かたすかし)霧島× =両国国技館(佐藤徳昭撮影)
〇翠富士(かたすかし)霧島× =両国国技館(佐藤徳昭撮影)

○翠富士(肩透かし)●霧島(大相撲初場所4日目=17日)

どんなに相手に警戒されても、その中で決める。翠富士の肩透かしは、それだけの切れ味がある。「得意技が決まると、うれしいはうれしいですね」。この日は、綱取りの大関霧島が餌食となった。

様子をうかがうように突いてきた霧島に対して、翠富士はすぐに懐に潜り込んで浅いもろ差しになる。右の腕を抱え込まれて極められそうになったが、ここからがうまかった。「固められないように、ちょこちょこ動いて隙間を空けて」。すくい投げで相手を泳がせるや、次の瞬間に肩透かし。日本相撲協会の集計によると、翠富士の直近6場所の計40勝のうち、肩透かしは9勝と、押し出しや寄り切りを上回る最多の決まり手だ。狙ってこれだけ決められるのは勘の良さに加えて、技術に幅があるからだろう。

土俵下で勝負を見届けた粂川審判長(元小結琴稲妻)は「霧島は抱え込みに行ったのが強引だった。慌てていたね」と解説する。連勝中の大関に余裕を与えなかったのは翠富士が終始、攻める姿勢を保っていたからだ。

優勝争いを宿命づけられている同部屋の横綱照ノ富士の援護射撃にもなる大きな1勝。「横綱の一番前だったんで。勝って挨拶できるのはうれしいです」。引き揚げてきた支度部屋では、懸賞を束から一本引き抜き、付け人らに手渡した。「験(縁起)なもの。もらったのは回さないと」。悲願の三役昇進に向けて、ここから良い流れを作っていきたい。(宝田将志)

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