自分の信念を貫いて生きてほしい 「光る君へ」まひろの母・ちやは役の国仲涼子

まひろの母、ちやはを演じる国仲涼子
まひろの母・ちやはを演じる国仲涼子 ©NHK

<出演者インタビュー>

大河ドラマは、女優として一度は出演したいと願っていた憧れの舞台です。 紫式部の母親役のお話をいただいたときは、「やります!」と即答したことを鮮明に覚えています。今作の制作統括である内田ゆきさんは、連続テレビ小説『ちゅらさん』でお世話になった恩人であり、その方からオファーをもらえたことがうれしくて、思わず立ち止まって泣きだしそうになりました。

クランクインの日を心待ちにしていたはずなのに、前日は緊張でよく眠れませんでした。現場ではまず、歴史ある大河ドラマならではの素晴らしいセットに圧倒されました。貧しい貴族の家の設定とはいえ、平安時代の家屋が細部までつくりこまれていて、とても驚きました。ただ、どの時代も家を仕切っているのは基本的にお母さんです。まずは家の構造や部屋の仕組みを把握しておきたくて、家族が暮らしている姿が自分でしっくりくるまでセットの周りをぐるぐる歩きまわっていました(笑)。

じつは、平安時代が舞台ということで、セリフなども少し難しいのかなという勝手なイメージがあったのですが、大石静さんの台本がとてもわかりやすく、自分のなかにすっと入ってきました。ですので、今回は特別な役づくりはせず、母親として家族と楽しく過ごす雰囲気が自然に出せればいいなと思っています。

唯一悩んだのは、現代とは異なる夫婦関係でした。 正妻のほかにも妻を持つのはよくあることだと頭では理解していても、不思議がる娘にどんな表情で答えればいいのかわからず、監督にも顔が暗すぎると言われたりして、何度か撮り直したんです。試行錯誤のすえにつくりあげたシーンにもぜひご注目ください。

そんな大切な家族との時間は突然奪われます。成長した娘を演じる吉高由里子さんに一度もお目にかかれないのは残念ですが、自分の信念を貫いて生きてほしいと母は願っています。

ちやは まひろの母。下級貴族の藤原為時に嫁ぎ、まひろと太郎(惟規)を授かる。家計は常に火の車で、裕福とは無縁の生活を送りながらも、不器用な夫を励まし、明るく家族を支えている。幼い子どもたちを愛情深く育てる心やさしい母親だったが、理不尽な理由によってまひろの目の前で命を落とす。このことが、まひろの人生に大きな影響をおよぼす。

国仲涼子

くになか・りょうこ 1979年6月9日生まれ。沖縄県出身。沖縄が舞台の連続テレビ小説『ちゅらさん」でヒロインを好演し、 人気を博す。「みんな昔は子供だった』『結婚で きない男』など多数のテレビドラマに出演。大河ドラマは今作が初出演。

※産経新聞出版 『光る君へ』完全読本 より

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