金融庁、SBI証券に1週間の業務停止命令 IPO銘柄で株価を操作

金融庁の入る中央合同庁舎=東京都千代田区
金融庁の入る中央合同庁舎=東京都千代田区

金融庁は12日、インターネット証券最大手のSBI証券に対し、金融商品取引法に基づき1週間の一部業務停止命令を出した。SBI証券は新規株式公開(IPO)銘柄で、株価の操作を図っていた。IPO株の買い付けの勧誘を同日から18日まで停止させる。

業務改善命令も出し、経営陣を含む責任の所在の明確化や内部管理態勢の強化も要請。2月13日までに業務改善計画などを書面で報告することを求めている。

一方、業務停止の期間中はIPOの予定がない上、個人向けの株や投資信託の売買取引は対象としないため、SBI証券への影響は限定的になるとみられる。

今回の行政処分について、金融庁は「違法行為の重大性や悪質性、経営管理態勢の適切性などの要素を総合的に勘案して決定した」と説明。平成28年8月に同様な内容で処分を受けたヤマゲン証券への業務停止期間は3日間だった。

SBI証券が株価の操作を図っていたのは、新規上場後に初めて付く株価で「初値」と呼ばれる。証券取引等監視委員会が立ち入り検査を行うなどして事実関係の調査を進め、監視委は令和5年12月、SBI証券を行政処分するよう金融庁に勧告していた。

監視委の勧告によると、SBI証券は2年12月から3年9月、主幹事を務めたIPO3銘柄について、初値が公募価格を下回らないようにするため、金融商品仲介業者などを通じて顧客に株の買い付けを勧誘。相場を変動させる作為的なものとなることを知りながら、3銘柄計225万6600株の買い注文を受けた。

SBI証券は「行政処分を厳粛に受け止め、今後より一層の内部管理体制の強化・充実を図り、再発防止や信頼回復に向け、全力で努めてまいる所存だ」とのコメントを発表。役員が関与したことなどから、今後は社内処分の行方が焦点となる。

SBI証券への処分勧告へ 監視委

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