被災地走る地元の与野党議員 「寄り添い、守る」自民・西田昭二氏、立民・近藤和也氏

火災に見舞われた輪島朝市=7日午前、石川県輪島市(岩崎叶汰撮影)
火災に見舞われた輪島朝市=7日午前、石川県輪島市(岩崎叶汰撮影)

能登半島地震で犠牲になった206人(10日午後2時時点)は、いずれも衆院石川3区の住民だった。同区を地盤とする衆院議員は自民党の西田昭二氏と立憲民主党の近藤和也氏(比例復活)。国政や選挙で立場を異にする2人だが、能登が直面する緊急事態に協力を確認。それぞれ地元に張り付き、被災者に対し要望を聞き取っては国や県に集約し、希望と再起を呼びかけている。

言葉にならない

「各地の被災状況を見てきた自身にとっても珠洲市の被災の惨劇に言葉にならない状況」

西田氏は10日、犠牲者91人を出した珠洲市を視察した印象について、自身のフェイスブックにこうつづった。西田氏は9日に地元首長の要請で、甚大な被害を受けた奥能登地域に入っていた。

西田氏も秘書も被災した。家族は無事だったが、半島中央部にある七尾市の自宅は倒壊の恐れがあり親族の家に避難している。ほかの被災者と同じように、シャワーを浴びたのは発災から約1週間後だったという。

道路の寸断などで孤立状態となった集落から救援を求める声が寄せられる。各地の避難所を回っては支援物資などのニーズを聞き取っている。政府や自民党に対する辛辣な意見もある。

奥能登地域の医療体制の整備、トイレの供給、燃料支援などについて所管省庁の政務三役と直接調整し、被災酪農家の「牛の飲み水が確保されにくい」といった訴えにも目配せする。

心無い批判も…

ただ、ネットには心無い声もある。西田氏側が発災後の混乱の中、犠牲者に哀悼の意を表したコメントをX(旧ツイッター)に投稿。「被害状況の把握に総力を上げて努めていますが、まずは、自らの命の確保と健康に努めて下さい」との文言があり、「自ら、つまり自助で何とかしろと」「これが自民党政治だよ」「冷たい」などと書き込まれたという。日刊ゲンダイは4日に西田氏について「ネット上で怒りの声が向けられている」と紹介した。

立民の近藤氏も被災地を駆けずり回っている。

「皆さまに奥能登に入ることの自粛を求めています。私も3日に穴水町(=奥能登地域)を出て以降、奥能登に戻っていません。少しでも早くこの地域に入りたいという気持ちを断腸の思いでこらえています」

「私の活動は不要不急ではないとの自負はありますが、今の段階は本当の専門職に任せるのが最適だと」

近藤氏は9日夜、Xにこう投稿した。

奥能登の住民は電話で

交通渋滞が緊急車両の移動を妨げる恐れから県は奥能登地域へ不要不急の移動自粛を要請している。県外では賛否の声もあり、近藤氏が電話で奥能登の住民に聞くと、通常の倍以上の移動時間がかかっているとして、皆が現時点での自粛の継続を唱えたという。

近藤氏も奥能登で地震に直面した。元日の夜は穴水町の避難所で過ごしたという。スタッフも被災したため地元事務所は一時的に閉じ、電話は東京の事務所に転送している。

親戚の家も全壊したが、近藤氏は変わり果てた街並みに車を走らせ、避難所を回る。断水や燃料不足、防犯や生活再建への不安を聞き取る。

面子にこだわる時でない

発災直後は被災者の要望などは馳浩石川県知事に直接連絡したというが、自民党石川県連会長の宮本周司参院議員に相手を切り替えた。馳氏も災害の陣頭指揮を執る。忙殺される馳氏の負担を考慮した。「面子にこだわっている時ではない」。代わりに宮本氏が県災害対策本部に情報を反映させている。

「移動自粛」を呼びかけつつ、自身も奥能登地域入りは控えて現時点での対応を自衛隊や警察、消防に任せる近藤氏。それでもネット上では「与党政治家なのだから住民のニーズと政策をつなぐ橋渡しをできるのでは」など、野党の近藤氏に対する誤った批判もある。(奥原慎平)

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