田中将大、坂本勇人も36歳の年男 プロ野球「ハンカチ世代」の正念場

日本球界復帰後、思うような成績が残せていない楽天の田中将。今季は大減俸で臨む=ペイペイ(渋井君夫撮影)
日本球界復帰後、思うような成績が残せていない楽天の田中将。今季は大減俸で臨む=ペイペイ(渋井君夫撮影)

年が明けて2024年は辰年。今年、年男のプロ野球選手は、あの「黄金世代」の豪華な面々が並ぶ。

まずは36歳になる1988年生まれ。その年代の選手が高校3年だった2006年の夏の甲子園大会は球史に残る決勝となった。早実(西東京)と駒大苫小牧(南北海道)の激突は延長十五回の末に1-1で引き分け再試合。翌日の再戦で早実が4-3で日本一となった。延長十回からタイブレークに入る現在ではお目にかかれない激戦だった。

2006年夏の甲子園大会決勝再試合で、駒大苫小牧の田中将から三振を奪い、全国制覇を成し遂げた早実の斎藤=甲子園(森田達也撮影)
2006年夏の甲子園大会決勝再試合で、駒大苫小牧の田中将から三振を奪い、全国制覇を成し遂げた早実の斎藤=甲子園(森田達也撮影)

早実のエースは斎藤佑樹。マウンドでポケットからハンドタオルを取り出す姿で「ハンカチ王子」と呼ばれ、人気者となった。そのため、斎藤と同年代の選手をまとめて「ハンカチ世代」の言葉が生まれた。

対する駒大苫小牧のエースは田中将大。決勝再試合の最後の打者になったのが印象的だった。

「マー君」と「佑ちゃん」はプロの成績では大きく差がついた。田中将は高校から楽天に入り、米大リーグ・ヤンキースでも活躍。21年に楽天に復帰し、昨季を終えての日米通算成績は197勝(113敗)と200勝まで残り3勝としている。早大を経て日本ハムに入団した斎藤は1年目の6勝がキャリアハイ。右肘などの故障に悩まされ、通算15勝(26敗)の成績で21年に引退した。

ただ、田中将は日本球界復帰後の3年で20勝(32敗)と苦しみ、日本復帰時の年俸9億円から昨季は4億2500万円減の4億7500万円。今季はさらに大幅減で臨むことが予想され、背水のシーズンだ。

遊撃から三塁にコンバートされた巨人の坂本=東京D(斎藤浩一撮影)
遊撃から三塁にコンバートされた巨人の坂本=東京D(斎藤浩一撮影)

田中将だけでなく、「ハンカチ世代」は今季、もうひと花咲かそうと、正念場を迎える選手が多い。坂本勇人(巨人)は長年守った遊撃から三塁に移る。守備の負担が減ることで、現役最多の通算2321安打のさらなる上積みが期待される。

今季から米大リーグのタイガースでプレーするのは前田健太だ。右肘の故障などもあり、昨季まで3年連続6勝に終わったが、コンディションが戻った今季は4年ぶりの2桁勝利を目指し、残り38勝の日米通算200勝へのカウントダウンを開始したいところだ。

昨季、パ・リーグの最多安打(163本)だった柳田悠岐(ソフトバンク)、2度目の首位打者に輝いた宮崎敏郎(DeNA)は、まだまだ元気な姿を見せたいところだろう。

ただ、この年齢になるとリタイアする選手はどうしても多くなる。塩見貴洋、銀次(いずれも楽天)、堂上直倫、福田永将(いずれも中日)は昨季限りでユニホームを脱いだ。石川歩(ロッテ)は今季、育成選手として復活を目指す。昨季、7安打に終わったT-岡田(オリックス)は減額制限25%を超える3600万円減の年俸3600万円で今季に臨む。

2000年生まれの24歳が経験した夏の甲子園大会は18年。100回大会は大阪桐蔭が春夏連覇を達成した。そのメンバーだった藤原恭大(ロッテ)、根尾昂(中日)、横川凱(巨人)は1軍は経験するものの、チームの中心選手にはなっていない。

この世代の出世頭は野手では、早生まれだが、一昨年の三冠王、村上宗隆(ヤクルト)、投手では巨人のエースとなった戸郷翔征だろう。2人は昨季のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも出場。今後も世代のトップランナーとして走りそうだ。ちなみに100回大会決勝で大阪桐蔭と対戦した金足農のエース吉田輝星(オリックス)は早生まれだ。

48歳以上の世代ではレジェンドが並ぶ。1976年生まれは大リーグでも活躍した城島健司(元阪神)、60歳は甲子園のスター、荒木大輔(元横浜)、日本ハムと近鉄でトレンディーエースと呼ばれた西崎幸広(元西武)と阿波野秀幸(元横浜)。さらにその上には巨人と阪神両チームでエースに君臨した小林繁(元阪神)、2千安打を達成した新井宏昌(元近鉄)、甲子園の元祖アイドル、太田幸司(元阪神)がいる。(金額は推定)

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