男性アイドル界に君臨してきた旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.=スマイルアップ)が今年、故ジャニー喜多川氏による性加害問題によって、一気に廃業へと向かうことが決まった。なぜ創業者の性加害が同事務所で長年見逃されてきたのか。覇者を失った芸能界で今後、芸能事務所とタレントを支えるファンはどうあるべきなのか。芸能界に詳しい野村修也中央大法科大学院教授に話を聞いた。
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同族経営が常に悪いわけではない。旧ジャニーズ事務所は外部の声に耳を傾けなかった点で弊害が露呈した。
日本の芸能事務所は「興行」という古い衣をまとったままのところが多いが、旧ジャニーズ事務所の規模や影響力を考えれば、グローバルなビジネス環境にふさわしいユニホームに着替えることが必要だった。所属タレントへの性加害を防げなかったこと自体が、経営者のキャパシティーの中でしか経営が行われていなかったことの証しだ。