【北京=三塚聖平】中国政府は11日までに、チベット自治区の統治状況についてまとめた白書を公表した。その英語版で自治区の地名として、従来の「チベット(TIBET)」ではなく、チベットの中国語「西蔵」の発音に当たる「シーザン(XIZANG)」を使った。チベットの中国色を強め、米欧などによる人権侵害批判を内政干渉としてはねつける狙いがあるとみられる。
中国政府が2021年5月に公表したチベットに関する白書では、英語表記を「チベット」としていた。中国当局が英語表記を「シーザン」に変える動きを積極化させていると指摘されており、その一環とみられる。
白書では、チベット統治に関して「中国共産党の指導」や「宗教の中国化の方向性」を堅持するとの方針を強調した。習近平政権は国内の各宗教に対し、中国の社会主義に適応した思想に転換するよう求めている。
また、習氏が党総書記に就任した12年からの10年間で、チベットの住民1人当たりの可処分所得が3倍余り拡大したと強調。チベット統治が「歴史的な成果」を挙げたと主張した。