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若村麻由美、突然のオファー 「あなたに」と言われ続ける役者でいたい

「この素晴らしき世界」に主演する若村麻由美(土谷創造撮影)
「この素晴らしき世界」に主演する若村麻由美(土谷創造撮影)

「この素晴らしき世界」 フジテレビ系 木曜午後10時

平凡な生活を送る主婦の浜岡妙子。ある日、失踪した大女優、若菜絹代の身代わりを務めることに。主婦と芸能界という二重生活を送ることになるが…。

妙子と絹代の1人2役と思いきや、妙子がなりすました絹代も演じるため、実質は1人3役。

「シチュエーションがしっかりあるので、相手役の人とセリフを交わす中で、声のトーンや役の重心みたいなものが決まっていく。人に対してどう見せたいか、人との距離感で人物ができていくのを、このドラマによって改めて気づかせてもらいました」

演じ分けの基本と考えているのが妙子役だという。主婦業とスーパーでのパートに追われ、夫の陽一(マキタスポーツ)とは冷え切った関係だ。撮影前に家族だけのシーンの本(台本)読みをしたが、「『こういう旦那さんを持っている奥さんは大変なんだな』と思わされるくらい、マキタスポーツさんが実感のあるお芝居をなさってくれました」と信頼を寄せる。

絹代になりすまして芸能活動をする妙子
絹代になりすまして芸能活動をする妙子

オファーは突然だった。当初は鈴木京香が主役を演じる予定だったが、体調不良で降板。およそ20年ぶりに地上波の連続ドラマで主演を務めることに。準備期間も短く不安もあったが、「子育てがひと段落した主婦が、これからの人生をどうしようかなと考えているときに、降って湧いたなりすましにチャレンジする。自分の状況に似ていて面白いと思いました」と笑う。

妙子は、スキャンダルがきっかけで国外に逃亡した絹代に代わって謝罪会見に出ることに。高額の報酬目当てでなりすましを引き受け、絹代の夫、夏雄(沢村一樹)のサポートを受けながら、大女優としてのふるまいを学んでいく。「業界の裏側を面白く見せながら、普通の主婦がカルチャーショックを受けていくところは、視聴者の方から見てもおもしろいのでは」。前半はドタバタを描くコメディーだが、後半は、芸能界や社会の不正に立ち向かう社会派ドラマの様相を強めていくという。

タイトルにも深い意味がありそうだ。

「役者の世界は私にとって『素晴らしき世界』。主婦の方も含めて、どんなお仕事でも必要とされるのは本当に幸せなこと。『あなたに』と言われ続ける役者でい続けたい」

(油原聡子)

わかむら・まゆみ>昭和42年生まれ。東京都出身。62年、NHK連続テレビ小説「はっさい先生」のヒロイン役でデビュー。フジテレビ「白い巨塔」(平成15年)、テレビ朝日「科捜研の女」シリーズ、舞台「ザ・空気」など、ドラマや映画、舞台など多方面で活躍。

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