天安門の元学生指導者、次世代に「事件は戦う原動力」

天安門事件で銃撃された元学生が持っていた血の付いたタオルを掲げ、中国の民主化を訴える元学生指導者の周鋒鎖氏=4日午後、東京都文京区(奥原慎平撮影)
天安門事件で銃撃された元学生が持っていた血の付いたタオルを掲げ、中国の民主化を訴える元学生指導者の周鋒鎖氏=4日午後、東京都文京区(奥原慎平撮影)

中国共産党政権が学生らの民主化要求運動を武力で鎮圧した天安門事件から34年となった4日、当時の学生指導者の周鋒鎖(しゅう・ほうさ)氏(55)が東京都内で開かれた抗議集会に出席し、民主化に向けた希望を次世代に託した。周氏は事件後に中国当局が公表した21人の指名手配犯の1人で、いまも米国を拠点に「民主」と「自由」を母国に求めている。講演の要旨と、記者会見の主なやり取りは以下の通り

講演要旨

「中国において民主主義は必ず実現しないといけない。そうでなければ、中国が全世界に災難をもたらすことになる。34年前、中国共産党政権は戦車を北京の天安門広場に進め、9歳の子供を含む国民を殺害した。だが、日本を含む海外の国々は(事実上)傍観し、結果として、このような政権を発展させてしまった」

「数多くの人が希望を失い、暗闇の中で過ごしてきた。それでも希望を捨てず、民主と自由を求める中国人がいる。事件は自由を目指した中国人の運動として歴史に刻まれ、民主主義のために戦い続ける原動力となっている」

「中国と海外の中国コミュニティーの交流を促していきたい。(中国の国内外で白い紙を掲げて中国政府の厳格なゼロコロナ政策に反対する)『白紙革命』は共産党政権の姿勢を変え、社会的な変革をもたらした。インターネットを通じた海外の情報が白紙革命を起こしたといっていい。ネットを通じ、自由主義社会のメッセージが伝わることは、中国を変える突破口になるだろう」

記者会見やり取り

──日本社会への期待は

「事件を忘れないでほしい。事件は、世界にとっても中国にとっても、非常に重要なことだ。これからの世代に受け継がれていくだろう」

──海外で民主化を訴えれば、中国に残した家族に迫害が及ぶのか

「白紙革命で活動した若者は(当局から)受ける迫害は嫌がらせ程度で、拘束までされていない。ただ、中国当局は手段を選ばない。家族が巻き込まれることはよく聞く話だ」

──中国国内で民主化を求める動きはあるか

「中国で(民主化を求めれば)、弾圧されることが予想される。それでも勇気ある行動を取る人がいる。中国・北京で(1776年の)米国の独立宣言を書いたチラシをまいた歌手もいる。ただ、その多くは単独行動だ。中国はどこも監視カメラが設置され、中国共産党が監視している。(民主化を求める人たちは)連絡を取り合う術がなく、個人で孤独に戦うしかない」

──国際社会に求めたいことは

「優先すべきは中国の民主化だ。かつて欧米諸国は中国は経済や文化、技術での交流によって変わるだろうという期待を寄せたが、間違いだった。民主化なしに中国が進展を遂げることはない」

「中国国民の心に(当局への)恐怖が氷のように覆っている。ただ、水面下に不満がたまっている。若者の失業率は約20%。不満がいつ爆発するか分からない。関心を寄せてほしい」

──昨年11月に東京・新宿でも数百人規模の在日中国人らの白紙革命が起きた

「これだけの若者が白紙革命を起こし、中国の弾圧に立ち上がる姿は、われわれの世代の励みになっている。中国の未来における希望といっていい」(奥原慎平)

会員限定記事会員サービス詳細