スポーツ庁、くじ助成に指針活用検討、不正防止へ実効性確保

スポーツ庁の外観=東京・霞が関
スポーツ庁の外観=東京・霞が関

東京五輪・パラリンピックを巡る汚職・談合事件を受け、スポーツ庁などは再発防止に向けた動きを強めている。公的資金を伴う大規模スポーツ大会の運営に関する「指針」が策定されたのは3月。同庁はその実効性を高めるため、今後、国際競技大会の主催者などがスポーツ振興くじの助成を求める場合、「指針」の活用や順守を申請要件とすることなどを検討している。2024年度にもルール化される見通しだ。

日本スポーツ振興センター(JSC)は、「トト」などスポーツ振興くじの売り上げの一部を「国際競技大会開催助成」に充てている。五輪やアジア大会のほか、開催事業費が2億5千万円以上の国際競技大会も対象で、これまでに柔道のグランドスラム東京大会などが助成を受けてきた。

「指針」には、大会開催の収支に関する計画を策定、公表しているかや外部有識者を活用しているかなど、大会組織委員会などの運営組織が順守状況を自ら点検するセルフチェックリストが盛り込まれた。

同庁は24年度から、スポーツ振興くじの助成対象となる国際競技大会について、同リストに基づく「自己説明」と「公表」を申請要件の1つにする方向で検討を進めている。

東京五輪・パラを巡る一連の事件を受け、スポーツ界のカネの流れには、世間の厳しい目が向けられている。組織委などが守るべき11の原則が定められた今回の指針は、不正防止への道筋は示したものの、実効性が課題となっている。

スポーツ庁の担当者は「(スポーツ振興くじの助成は)厳密にいえば公金ではないが、限りなく公金に近い。指針の順守を申請要件とすることが一番効果的だ」と説明。すでに同庁や日本オリンピック委員会(JOC)などは、自治体や国内競技団体(NF)に、指針順守の徹底を周知している。

同庁は都道府県などが大会開催に対して公的助成を行う場合にも、同様の対応を検討するように要請している。スポーツ界全体で国民の理解を得るための動きを加速させたい考えだ。

また、同庁は官製談合防止法や独占禁止法について、公正取引委員会から講師派遣を受けて行う研修を積極的に受講することも、各自治体のスポーツ担当者に推奨。専門家に基礎から指南を受けることで、不正防止の一助としていく。

(小川寛太)

会員限定記事会員サービス詳細