20周年の春を迎え、さらに東京の磁力を高め続ける六本木ヒルズ

都心の春を告げる恒例行事「六本木ヒルズ 春まつり」=3月31日(金)から4月2日(日)まで=が4年ぶりに開催され、桜の開花に合わせたライトアップも実施されている。今年は六本木ヒルズが誕生して20周年を迎える節目の年。再開発前からこの地に根をおろす毛利庭園の8本のソメイヨシノや、開業時に植えられ、立派に育った六本木さくら坂のソメイヨシノは、地域の人にとってこれまでの20年を物語る、感慨深いものに違いない。

再開発前からこの地で育つ六本木ヒルズ・毛利庭園の桜が訪れる人を魅了する
再開発前からこの地で育つ六本木ヒルズ・毛利庭園の桜が訪れる人を魅了する

地域の防災力強化や交通課題解決に資する市街地再開発事業

今やすっかり東京のシンボルとなった六本木ヒルズは、2003年4月、民間による国内最大級の市街地再開発プロジェクトとして誕生した街だ。森ビル(東京都港区)やテレビ朝日が主となって事業が動き出したのは1986年。それは、地域の防災や交通課題解決のための事業でもあった。

計画地は南側が17メートルもの高低差により分断され、幅4メートル弱の道路を挟んで木造家屋や小規模なアパートやマンションが密集する、まさに都市再生が求められる地域だった。森ビルはこの地で約500件の地権者に対し、再開発の必要性について丁寧に説明をし続け、最終的には計画当初から17年の歳月を経た2003年に六本木ヒルズとして開業したのである。

その後、ともに事業を成し遂げた再開発組合は、街に新たに加わった住人やオフィスワーカー、店舗スタッフなどとともに構成される六本木ヒルズ自治会へと発展。震災訓練などの安全・安心活動、各種イベントなどのコミュニティ活動、街のクリーンアップなどの地域貢献活動などを展開し、現在は街に関わる様々な人々をつなぐ重要なコミュニティの核として機能している。

今や東京のシンボルとなった六本木ヒルズ
今や東京のシンボルとなった六本木ヒルズ

夜の街だった六本木が文化とアートの街へ

森ビルが六本木ヒルズで目指した都市モデルは、同社が「ヴァーティカル・ガーデンシティ(立体緑園都市)」と呼ぶ、多様な都市機能を徒歩圏内に高度に複合させたコンパクトシティ。建物を高層化することで足元に広場や緑地を創出し、地下空間も利用して都市を立体的に活用する。そこでは、オフィスや商業施設、文化施設、住宅、庭園、オープンスペースなどの都市機能が融合している。

そして、六本木ヒルズのもう一つのポイントが、「文化都心」というコンセプトだ。最先端の文化や情報を創出・発信することで、六本木ヒルズは経済的な視点に偏りがちだった従来の都市再開発の価値観を一新。その象徴として、森タワーの最上層部には森美術館を中心とする文化施設を設け、この街を「文化都心」にすることを誰の目にもわかる形で視覚化したのである。「アート&ライフ」を掲げて開館した森美術館は、20年間で約60回もの展覧会を開催。累計1850万人が来館するなど、アジアを代表する現代美術館に成長した。

森ビルの「文化」の力による都市づくりは、六本木エリアへのさらなる文化施設集積の機となった。六本木ヒルズ開業以降、2007年には「国立新美術館」と東京ミッドタウンの「サントリー美術館」などが開館。周辺では多彩なギャラリーやアトリエの開館や移転も進み、六本木を「アートの街」へと変貌させた。そのなかで、森美術館は国立新美術館、サントリー美術館とともに「六本木アート・トライアングル」を結成して共同プロモーションを展開。2009年からは、六本木の街を舞台に繰り広げるアートの饗宴「六本木アートナイト」もスタートし、東京を代表するアートの祭典として定着した。こうした文化やアートは新たな人の流れを創出し、夜の歓楽街のイメージが強かった六本木は、24時間多様な年代の人が集い、外国人の居住者や来訪者にも人気の国際色豊かな街に昇華した。

今年の六本木アートナイトは、5月27日(土)から 28日(日)に開催が予定されている。
東京を代表するアートの祭典「六本木アートナイト」 ©六本木アートナイト実行委員会
東京を代表するアートの祭典「六本木アートナイト」 ©六本木アートナイト実行委員会

都市再開発によって都市の緑を増やす

森ビルが提案する「ヴァーティカル・ガーデンシティ」は、都市が抱える環境問題への回答も示してきた。大規模な屋上緑化を実現したアークヒルズをはじめ、既存の緑と融合して地域の自然を継承した愛宕グリーンヒルズ、再開発前からある樹木を毛利庭園に残した六本木ヒルズなど、自然や緑を残したり育むことに配慮。同社が展開する「ヒルズ」全体で見た平均緑被率は、2006年の33.9%から2022年は42.1%へと増加している。

また、六本木ヒルズでは都心にもかかわらず、多くの生き物や植物を育む豊かな生態系を創出。映画館があるけやき坂コンプレックスの屋上庭園には、絶滅危惧種であるトウキョウダルマガエルなども生息している。さらに毛利庭園では、美しい体色のカワセミが見られ、秋には柿の実が色づくなど、季節ごとに多様な生き物や植物との出会いがある。

地上45メートルに位置する、けやき坂コンプレックスの屋上庭園
地上45メートルに位置する、けやき坂コンプレックスの屋上庭園

六本木ヒルズは、東京の磁力となる新たな価値を創造しながら、世界を惹きつける都市を目指し成長してきた。その成果は、その後の都市再開発に与えた多大な影響を見れば明らかだろう。そんな六本木ヒルズの成長を物語るかのように、開業時に植えた桜も道をおおうほどに育ち、訪れる人を温かく迎え入れてくれている。

帰ってきた「六本木ヒルズ 春まつり2023」

開業から20周年を迎える今年、六本木ヒルズでは4年ぶりに、六本木ヒルズ自治会と森ビルが主催する「六本木ヒルズ 春まつり2023」が、3月31日(金)から4月2日(日)までの3日間、開催されることになった。今回は、改めて日本の伝統文化に注目し、京都以外では初開催となる「『京都薪能 2023』スペシャルプレ公演」(3月31日)では、名作「羽衣」の観世流によるダイジェスト版が、幻想的な都会の風景のなかで繰り広げられる。

さらに、浅草を拠点に活躍して話題となっている「飴細工師集団 アメシン」などの匠の技に魅了される「和伝統屋台」(4月1日、2日)や、日本古典奇術などが満喫できる「和舞台パフォーマンス」(同)を用意。六本木ヒルズの名店8店舗が軒を連ね、限定メニューやオリジナルメニューを提供する「グルメ屋台」も人気を呼びそうだ。加えて、毛利庭園と約400メートルの桜並木が続く六本木さくら坂では合計約90本の桜をライトアップ(3月17日~4月中旬頃)。昼間とは一味違う都心の夜景に浮かび上がる桜が楽しめるほか、桜など四季の植物が育つ通常非公開のけやき坂コンプレックス屋上庭園も特別公開される(4月1日、2日)。

約400メートルにわたり桜のトンネルが続く六本木さくら坂
約400メートルにわたり桜のトンネルが続く六本木さくら坂

高層から都内の桜を一望できるのも六本木ヒルズらしいお花見だ。桜の時期、六本木ヒルズ森タワー52階の屋内展望台「東京シティビュー」と、屋上展望台の「スカイデッキ」では、「天空のお花見」を体感することもできる。眼下に広がる青山霊園の桜の十字路は圧巻の眺めである。

屋上のスカイデッキでは、4月28日(金)まで、桜をイメージした淡いピンクのライトアップや、音楽と香りの演出なども行われている。

スカイデッキから見る青山霊園の桜の十字路
スカイデッキから見る青山霊園の桜の十字路

2つの新たなヒルズとともに、東京の磁力をさらに高める

これら、春のイベントも含め、地域とともにコミュニティを広げ、「文化都心」として、街の磁力を高めながら20周年を迎える六本木ヒルズ。コミュニティを大切に育てつつ、建物をリニューアルしたり、新しいコンテンツを加えたりしながら街の鮮度を上げていけば、人々との絆は年々深まり、時を経てもなお都市の磁力は高まっていくのだ。

そして、六本木ヒルズを通じ、次世代の都市モデルを提示し続けてきた森ビルの都市づくりは、今秋開業する2つの新たなヒルズ「虎ノ門ヒルズ」と「麻布台ヒルズ」へと引き継がれていく。東京のさらなる磁力向上につながるこれらの新たな「ヒルズ」への期待が高まっている。

提供:森ビル株式会社

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