<独自>MS&AD傘下の2社、「再発防止費用」を補償 業務中の事故など 業界初

費用補償が可能となる主な再発防止策例
費用補償が可能となる主な再発防止策例

MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下で損害保険大手の三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険が、企業の従業員らが業務中に負ったけがなどを補償する保険に、再発防止費用を補償する機能を追加したことが26日、分かった。事故防止のための機械やデジタルツールなどの導入費用を補償する。業界で初めての取り組み。労働人口の高齢化に伴い、高齢者を中心とした労災事故や病気リスクは増加しており、こうした課題解決につなげたい考えだ。

対象となるのは、従業員らが死亡、もしくは後遺障害が残った場合で、4月1日から適用される。

機能が追加されるのは、両社が提供する業務災害補償保険。企業の従業員らが業務中に事故でけがを負ったり、業務が原因で病気になったりした際の対応に必要な費用を補償している。

この保険に、再発防止に必要な費用を補償する機能を加える。例えば、建設現場の作業員が高所から転落したというケースでは、転落防止のための安全帯の導入費用を補償する。業務中に熱中症になったというケースでは、体温などを常に計測できる腕時計型端末の導入費用を補償する。

モデルケースでは、年間売上高1億円の建築業者で、保険金支払限度額を100万円と設定する場合、保険料は年間で約7千円追加される。

労働人口の高齢化により、特に高齢者の労災による死傷は増加している。厚生労働省によると、令和3年の労災による60歳以上の高齢者の死傷者数は3万8574人で、平成29年から約3割増えた。両社は今回の機能追加で、企業に事故の再発防止を促したいとしている。

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