日本人女性2人含む154人死亡 ソウルの雑踏事故、ハロウィンで若者密集

ソウル・梨泰院の事故現場近くで手を合わせる人=30日(ロイター=共同)
ソウル・梨泰院の事故現場近くで手を合わせる人=30日(ロイター=共同)

【ソウル=桜井紀雄】韓国・ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)の路地で29日夜、31日のハロウィンを前に、押し寄せた大勢の人が折り重なるように転倒する事故が起きた。警察や消防は30日、外国人26人を含む154人が死亡し、133人が負傷したと発表した。日本政府関係者によると、10代と20代の日本人女性2人の死亡が確認された。犠牲者の大半は20代前後に集中。韓国で最悪の雑踏事故となった。

死亡した日本人のうち、1人は北海道根室市出身の冨川芽生(めい)さん(26)、韓国側関係者によるともう1人は18歳の留学生とそれぞれみられる。

現場は幅3メートル余りの狭い坂道で密集した人が下に向かって次々と倒れていったという。多くが圧死とみられる。死者のうち98人が女性で、負傷者のうち37人が重傷。死亡した外国人は他に、中国人4人やイラン人4人、ロシア人3人など。

警察が捜査本部を設置し、事故原因や安全策が十分だったかを調べる。

消防は29日午後10時15分ごろから通報が入り、救急車140台以上を動員したが、狭い道に人が密集しすぎて被害者の救出が遅れたとの指摘も出ている。

交流サイト(SNS)には、無数の人が路地で押し合う場面や、通りに横たわる多数の人に消防隊員や周囲の人が懸命に心肺蘇生措置を行う様子を写した動画が相次ぎ投稿された。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は30日、首相をトップとする事故収拾本部の設置を指示。政府は梨泰院があるソウル市竜山(ヨンサン)区を特別災難地域に指定し、遺族や負傷者への支援を打ち出した。30日から11月5日を犠牲者へ弔意を表す国家哀悼期間とすることも決めた。韓国内では事故後、ハロウィン関連など行事の中止決定が相次いだ。

梨泰院は、ナイトクラブやバーが立ち並び、外国人も多く訪れる街で、ハロウィンの時期には日本の東京・渋谷などと同様、仮装した若者らでにぎわう。今年は新型コロナウイルス対策の規制解除を受けて3年ぶりに人波でごった返し、事故当時、10万人以上が訪れていたと伝えられている。

梨泰院は、人気ドラマ「梨泰院クラス」の舞台としても知られ、日本人観光客にも人気のエリアだ。

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