今、私たちは「米中対立時代」を生きている。平和で安定した民主主義諸国の一員として、安全保障をアメリカに依存し経済成長を図る、などといった特権的な立場を享受できた時代は過去のものとなっている。
特に、中国は勢力の拡張期にある。抑止力が機能し、世界秩序が安定するといったことは期待できない。例えば台湾有事のような、日本の目と鼻の先で発生し、巻き込まれるような事態も想定される大国間の緊張関係が、現実として目の前に突き付けられている。
足下ではドローンやAI(人工知能)など、あらゆる新技術を軍事に転用していく流れがある。こうした軍拡の局面では、国際情勢は不安定になりがちだ。日本はエネルギーや食料などを海外に頼る非常に脆弱な立場にある。シーレーンの防衛も含め、アメリカ依存だった部分を手当てしなければ現状維持すら厳しい。