数字から見えるちば

国勢調査のネット回答率41% デジタル化で向上を

5年に1度実施される国勢調査は、日本に居住する全ての人を対象にしたわが国唯一の全数調査であり、選挙区の見直しや地方交付税交付額の決定など法令施行時の根拠となる基準人口として利用されるなど、公的統計のなかでも中核的な統計調査といえる。

重要性が高い国勢調査であるが、近年、不在住居の増加やオートロックの浸透による回答者との直接的な接触が困難な世帯の増加、住民のプライバシー意識の高まり、回答に不慣れな外国人の増加などを背景として、回収をめぐる環境は厳しさを増している。

国勢調査の回答方法には、調査員への提出のほか、郵送、インターネットの3つの方法があるが、いずれかの手法でも回収できない世帯については近隣に質問する聞き取り調査が実施されている。この聞き取り調査となった世帯の割合は平成12年には1.7%であったが、22年に8.8%、27年には13.1%にまで急増している(令和2年の割合はまだ未公表)。

明らかにならない調査項目については、住民基本台帳情報の活用などにより欠損データの補正が行われるが、補正できない項目については「不詳」として集計される。例として年齢について令和2年調査の不詳人口割合をみると、全国で2.3%、千葉県では2.1%となっている。2.1%は13.4万人にも上り、正確な年齢階層把握という点で大きな問題となっている。

インターネットによる回答は、回収率の向上などを目的として平成27年調査から導入された。令和2年調査での総世帯数に占めるインターネット回答割合をみると、千葉県は41.0%で全国9位となっている。県内上位には、浦安市(51.7%)、流山市(51.6%)、印西市(50.8%)など、平均年齢が若い自治体が並ぶ。

コロナ禍での通販やデリバリー注文などで、インターネットを活用する世帯の比率は上がってきている。国勢調査の社会的な意義の周知などで、令和7年調査ではインターネットを含めた県民回答率がさらに向上することが期待されるが、同時に政府には行政のデジタル化をさらに進めてほしい。調査票の配布は現在紙ベースだが次回調査では、マイナンバーを使った電子ベースの調査票配布も実現させ、岸田政権が掲げるデジタル田園都市国家構想を一歩前に進めたい。(ちばぎん総研主任研究員 福田宏治)

会員限定記事会員サービス詳細