陸上自衛隊が28日、国内最大の実弾射撃訓練「富士総合火力演習(総火演)」を静岡県の東富士演習場で行った。海に囲まれた日本では陸上戦力より海空戦力が重視されがちだが、ロシアによるウクライナ侵攻で目の当たりにしたように、領土を守る戦いを最終的に決するのは陸上戦力だ。日本の火砲の威力はいかほどか。新型コロナウイルス対策で一般公開は中止されたが、記者が現場で体感してきた。
「だーんちゃーく(弾着)、いま!」
会場に通信の音声が流れると富士山へと続く約3キロ先の山肌で一斉に黒煙が上がり、遅れて約8秒後に「ボボボボォーン」と轟音が響き渡った。現在位置も射程も異なる迫撃砲と榴(りゅう)弾砲の計39門が一斉に同じ場所を砲撃し、敵地に奇襲をかける「同時弾着攻撃」だ。攻撃を終えると部隊は速やかに移動を開始。敵の対抗射撃を避けるためだ。