「天の川銀河の理解へ大きな一歩だ」 ブラックホール撮影の研究者ら会見

天の川銀河のブラックホール撮影について説明する森山小太郎・独ゲーテ大研究員=12日夜、東京都港区(伊藤壽一郎撮影)
天の川銀河のブラックホール撮影について説明する森山小太郎・独ゲーテ大研究員=12日夜、東京都港区(伊藤壽一郎撮影)

太陽系がある天の川銀河の中心に位置するブラックホール「いて座Aスター」の撮影に成功した国際チームの日本人研究者らは12日夜、東京都内で記者会見を開き、「私たちが住む天の川銀河の理解に向けた大きな一歩だ」などと誇らしく研究成果を報告した。

観測データを解析し、画像化する作業を担当した独ゲーテ大の森山小太郎研究員は「2017年から5年間かけて解析し、天の川銀河のブラックホールの姿を紹介できることを、心よりうれしく思う」と第一声。

その上で、「なかなか画像化できず苦しい時期もあったが、なんとかしてやろうと取り組むうちにだんだん出来上がり、最終的にブラックホールの画像を作れたときは、本当に満たされて感無量だった」と述べ、ここまでの道のりをにこやかに振り返った。

同様にデータ解析や画像化に携った東京大大学院生の小藤由太郎さんは「既に撮影成功を発表しているM87銀河の中心のブラックホールと合わせ、属する銀河が異なる2つの画像が得られたことで、ブラックホールや銀河の多様性の理解を深めることが可能になる」と成果の意義を強調した。

今後はさらに観測精度を上げて静止画ではなく動画の作成を目指す。小藤さんは「ブラックホールからガスが猛スピードで噴出するジェットという現象がなぜ起こるのかについての解明や、一般相対性理論の正しさの検証に挑みたい」と意気込んだ。

また、新潟大の小山翔子助教は「国際チームの中で日本人研究者は、独自の加画像解析方法を開発し、最終的に発表した画像の作成を担当するなど、極めて重要な役割を果たした」と、日本人研究者の貢献を誇らしげに明かした。

国際チームの日本代表を務める国立天文台の本間希樹(まれき)教授は「若手が重要な役割を果たし、ブラックホールを目に見える形で表せた素晴らしい仕事になった。そこに立ち会えるのが科学者の醍醐味(だいごみ)。科学を目指す学生など、次の世代を生み出すきっかけになればいいと感じている」と、晴れやかに語った。

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