コロナ禍で注目「ソロ市場」 一人焼き肉や個室サウナ

1人1台の無煙ロースターを完備した一人焼き肉専門店「焼肉ライク」(同社提供)
1人1台の無煙ロースターを完備した一人焼き肉専門店「焼肉ライク」(同社提供)

一人客をターゲットにした「ソロ市場」が新型コロナウイルス禍で注目されている。一人旅が増えているほか、一人焼き肉専門店や個室型サウナなど、外食やレジャーも〝おひとりさま〟が人気を集める。感染対策としてだけでなく、マイペースに楽しめる気軽さも受けている。

リクルートの観光調査・研究機関「じゃらんリサーチセンター」によると、国内宿泊旅行に占める一人旅の割合は令和2年度が17・8%で、10年前の平成22年度から4・7ポイント上昇した。「自分のペースで趣味を楽しみたい人や単身者の増加を背景に伸びている」と同センターの森戸香奈子主席研究員は分析する。

クラブツーリズムでは令和3年度下期(3年10月~4年3月)における関西発の一人旅の売上高がコロナ禍前の平成30年度同期を上回った。同社の広報担当者は「一人旅の魅力は気軽さ。誰かを誘いづらい時世にマッチしており、需要の回復が早かった」とする。

外食やレジャーも同様で、コロナ禍による衛生観念の変化がソロ市場の成長を加速させている。外食では一人焼き肉専門店「焼肉ライク」が5日時点で国内80店舗となり、28店舗だった令和2年3月から3倍近くにまで急拡大した。

「気軽に短時間で食べられる点が時代に適合した」と、焼肉ライクの有村壮央(もりひさ)社長。1人1台の無煙ロースターを備えたカウンター席があり、注文から精算までほぼ店員を介さず利用できる。一般の焼き肉店では1組が1~2時間滞在するのに対し、焼肉ライクは1人平均25分と短いのも特徴。有村社長は「焼き加減やペースなど自分好みに食べたいという需要はもともとあった」と、一時のブームで終わらないことを強調し、期間限定のすき焼きなどを定番メニューにすることも検討している。

KOHATAホールディングスが展開する個室サウナ。高級ホテルのような内装にしている=大阪市北区
KOHATAホールディングスが展開する個室サウナ。高級ホテルのような内装にしている=大阪市北区

一方、一般社団法人日本サウナ・温冷浴総合研究所によると、国内の3年のサウナ人口は1573万人で、コロナ禍の影響もあり前年から約4割減った。

そんな中、拡大しているのが一人客向けの個室型サウナだ。2年11月に「ソロサウナtune(チューン)」(東京都新宿区)、3年10月に「ロウリューランド」(川崎市)など首都圏で個室型サウナが相次ぎ開業。業界関係者は「他の客との接触や一部のマナーにストレスを感じる人も多く、個室型の人気につながっている」と話す。

KOHATAホールディングス(同)も3月に完全個室型サウナの1号店(東京都目黒区)を開業し、4月には大阪で2店舗を出店。シャワー室とトイレ、休息スペースが一体となった設計で、非接触を追求した。同社の木幡義幸社長は「差別化のため高級ホテルのような内装を採用した」とアピール。今後5年間で累計100店舗の展開を目指す。(田村慶子)

会員限定記事会員サービス詳細