e-Tax スマホで使いやすく

令和3年分の所得税の確定申告が16日に始まる。新型コロナウイルス禍もあり、国税庁は国税電子申告・納税システム「e―Tax(イータックス)」の普及を進めてきた。今年から新たに加わった機能もあり、国税庁の担当者は「便利さが格段に良くなった。多くの人に使ってもらえれば」と利用を呼び掛けている。(石原颯)

新機能は、給与所得の源泉徴収票をスマートフォンのカメラで撮影すると、確定申告書のページに源泉徴収税額の金額などが自動的に入力されるというもの。

撮影した画像に光が映り込むなどの理由で一部読み取れない場合には、手入力で修正することが必要だ。ただ、スマホに表示されている入力枠をタップすると、読み込んだ源泉徴収票の写真データでどの部分が該当するかを赤枠で示してくれるため、探す手間は大幅に省ける。

源泉徴収票の記載項目は最大で約30項目あり、手入力すると15~30分ほどかかっていた。国税庁の担当者は「所要時間は中身の確認を含めて2~3分程度で終わる」と利便性を強調する。

昨年1月から始まったマイナンバー所持者向けサイト「マイナポータル」のアプリと連携した申告対象も広がる。新たにふるさと納税や医療費が対象となり、控除証明書をオンラインで取得し、その情報を基に申告書の作成ページに自動転記できる。

このほか、パソコンでのマイナンバーカードを使った申告では、これまでマイナンバーカードを読み取るための機器(カードリーダー)が必要だったが、3年分からは、スマホのマイナポータルのアプリと連携させることで不要となる。

パソコンによる申告の際に、わざわざ特別の機器を用意しなければならなかったことが、「e-Tax普及の『最大のネック』となっていた」(国税庁担当者)といい、特に大量の経費処理をする事業者の利用促進が期待できるという。

パソコンやスマホによるe-Taxでの確定申告は平成29年分で約52万人だったが、令和2年分は約321万人と3年で約6倍に増加している。国税庁は今後も、自動で入力できる対象を拡大していく方針だ。

国税庁幹部は「コロナ禍で生活様式が変わり自宅からの申告は、社会の変化にマッチしている。削減できた時間を有効活用してもらえれば」と期待を寄せている。

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