肥満は生活習慣病に直結し、健康を損なうことが多い。その主な原因は、家系的な遺伝や不適切な食生活にあると考えられてきた。ところが最近、九州大と福岡歯科大の研究により、母親が妊娠中に高カロリーの食生活だった場合、胎児の遺伝子に変化が生じ出生後に太りやすい体質になるという、別の仕組みもあることが新たに分かってきた。妊婦の高カロリー食は、いったいどんなメカニズムで次世代の子供を肥満体質に変えてしまうのか。
定説で説明できない肥満
体脂肪は、体の機能を正常に保つのに必要なホルモンなどの物質を作り出したり、エネルギー源を貯蔵して体温を保ったり、さまざまな役割を担っている。だが、体に過剰につき過ぎて肥満状態になると、高血圧や糖尿病、高脂血症などに代表される生活習慣病につながってしまう。