地銀再編の盟主へ りそなの野心と強まる存在感

 菅義偉首相が「数が多すぎる」と発言したことで再編圧力が高まる地方銀行業界。その新たな盟主になり得る存在として、りそなホールディングス(HD)が注目を集めている。完全子会社化する関西みらいフィナンシャルグループ(FG)を「再編のプラットフォーム(基盤)にする」と意欲を示したからだ。各地域で「お殿様」として君臨する地銀は単独での生き残りを模索するが、りそなはネット金融大手SBIHDとともに再編劇の主役になる野心を見せている。

(岡本祐大)

サービス共有化

 「資本(参加)ありき、システム統合ありきでなく、柔軟に連携を進めたい」

 りそなHDの南昌宏社長は11月、報道陣にこう話し、地銀との関係構築に意欲を示した。関西みらいFGは中間持ち株会社として存続させ、「将来の再編のプラットフォームとしての拡張性という意味で意義がある」と説明した。

 では、どのような地銀との連携を目指すのか。「カギはりそなが進める他行へのサービス展開にある」と関係者は明かす。

 りそなは6月、北関東の地銀2行を傘下に持つめぶきFGとデジタル分野の提携を発表。めぶき側がりそなのスマートフォンアプリを今年度内に導入することが決まった。「これはりそなのサービスが事務システムが違う地銀にも提供できることを意味している」(関係者)。

 りそな幹部が補足する。「再編にはトップ同士の付き合いがあった方がいい。いろいろな連携をきっかけに他行とのパイプがつくれる」。サービス共有化の先に、資本参加を含む再編があり得ることを示唆する。

SBIとの違い

 菅首相の発言で地銀再編が注目を集めているが、菅首相の就任以前から各地で動きは加速している。日本銀行の大規模金融緩和による低金利で利ざや(貸出金利と預金金利の差)減少に苦しんでいることに加え、人口減少で地域経済が先細っており、地銀の経営環境は悪化の一途をたどっているからだ。

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