THE INTERVIEW

国際政治学者・三浦瑠麗さん

「研究をやっているうちに現実が追いついてきた」(宮崎瑞穂撮影)
「研究をやっているうちに現実が追いついてきた」(宮崎瑞穂撮影)

□『21世紀の戦争と平和-徴兵制はなぜ再び必要とされているのか』(新潮社・1700円+税)

■徴兵制が平和に向かう逆説 直視避けた軍の位置づけ考察

米国の衰退と中国の台頭、そしてロシアの軍事的再興-。冷戦後の安定した国際秩序が流動化する中、欧州の先進民主主義国では国が国民に兵役義務を科す徴兵制復活の動きが見え始めた。国際政治学者、三浦瑠麗さんの『21世紀の戦争と平和 徴兵制はなぜ再び必要とされているのか』(新潮社)は、徴兵制が持つ効用に着目し、これからの民主国家がいかにして平和を作り出していくかを理論的に考察する。

「平和が大事だということは言うまでもありません。私は国家主義者だと言われることもありますが、自己認識はリベラル。リベラルに徹した上で国家や安全保障を引き受けたからこそ、こういう結論になりました」

現行憲法では「違憲」とされ、また戦前の経験から国民の忌避感も強い徴兵制に、どうして三浦さんは価値を見いだしたのか。その思考の理路は、本書によるとこうだ。

21世紀に入り、民意が十分に政治に反映された先進民主主義国において、シビリアン(文民)政府が専門家である軍の反対を押し切ってリスクの高い攻撃的戦争に踏み切る状況が目立ってきた。典型的なのが米国による2003年のイラク戦争。文民政治家が軍を統制する「シビリアン・コントロール」の原則だけでは、そうした戦争の発生を防ぐことはできない。

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