最期のとき

フォーク歌手・はしだのりひこさん 娘、舞台俳優・端田新菜さん

 --直後、急性の白血病に

 父は「生きたい」と言い、治療に耐えて寛解しましたがパーキンソン病が進行し、最期は緩和ケアの病院で亡くなりました。集まった家族や仲間が「死んだんか」「まだ生きてんのか」と見守り、わいわいと見送りました。

 父は威張りん坊で、わがまま。でもそのおかげで、「気づいてあげられなかった」と悔いが残ることがあまりないんです。「本当にあれもこれもやった」と振り返ることができ、父に感謝、です。

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 【取材を終えて】

 ■介護が息切れしないために

 新菜さんが介護中、父とけんかになる前に帰ったのは、いつまで続くか分からない介護生活が息切れしないための方策だったのだと思う。1人暮らしの父の不安を受け止めた日々を、明るく語る新菜さんがたくましく思えた。(津川綾子)

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【プロフィル】端田新菜

 はしだ・にいな 昭和52年、京都市生まれ。平成9年、劇団「青年団」に入団。23年から劇団「ままごと」にも所属し、介護をしながら、舞台や映画などに出演した。

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【プロフィル】はしだのりひこ

 昭和20年、京都市生まれ。本名・端田宣彦。昭和のフォークブームを牽引(けんいん)し、「ザ・フォーク・クルセダーズ」では「帰って来たヨッパライ」が、「はしだのりひことシューベルツ」では「風」、「はしだのりひことクライマックス」では「花嫁」がヒットした。平成29年に死去。

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