ギャンブル依存症対策 カジノだけでなく…包括的な対策が課題 

 6日に成立したギャンブル依存症対策基本法は、統合型リゾート施設(IR)の中核となるカジノ解禁の前提となるが、IR実施法案を成立させるために審議を急いだ面は否めない。カジノのみならず、パチンコなどすべてのギャンブルを包括する有効策が打ち出せるかが鍵となる。

 基本法は、依存症患者のための医療提供体制の整備や社会復帰の支援を進める対策推進基本計画の策定を政府に義務付けている。

 官房長官を本部長とするギャンブル依存症対策推進本部の設置や、依存症経験者や家族、有識者らでつくる関係者会議を設け、基本計画の策定時に意見を聞くことも盛り込んだ。

 法案提出者の中谷元・元防衛相(自民党)は「国と自治体の責務を明らかにして総合的に対策を進める。関係者会議で当事者の声も反映できる」と意義を強調する。

 国内で依存症経験が疑われる人は320万人に上るとの推計もあり、対策は急務だ。依存症患者の家族らでつくる「ギャンブル依存症問題を考える会」の調査(平成27年12月~28年3月)では、患者の家族200人中166人(83%)が「ギャンブルによる借金の肩代わりをしたことがある」と回答した。

会員限定記事会員サービス詳細