人道的任務に携わる「日本赤十字社」(東京都港区)が5月、設立から140周年を迎えた。戦災や震災など人々の苦しみに公平に寄り添ってきた「赤十字」の精神は、国内外で高い信頼を得ている。日赤はかつて、日清・日露戦争で傷病者の救護に当たったり、ペルー大使公邸占拠事件では、看護師らを派遣し人質や家族のケアに当たったりした。その歴史や経緯をひもとくとともに、かつては「白い羽根募金」もあったことなど豆知識も探る。(社会部 天野健作)
名誉総裁は皇后陛下
日本赤十字社のルーツは、明治10(1877)年の西南戦争にまで遡(さかのぼ)る。傷病者の救護のため、元老院議官の佐野常民(さの・つねたみ)や大給恒(おぎゅう・ゆずる)らによって設立された「博愛社」に始まる。博愛社は敵味方の区別なく戦傷者を救護することを目的としていた。
19年に日本がジュネーブ条約に参加し、翌20年に日本赤十字社に改称。昭和27年には日本赤十字社法が制定され、現在は厚生労働省管轄の認可法人となっている。
全国に約100カ所の医療施設や約240カ所の血液事業施設を運営し、献血を呼びかけたり、災害時の救援や義援金のとりまとめも行ったりする。