日本を守る自衛隊には戦車や護衛艦、戦闘機をはじめとする強力な装備品がそろっているが、それらを動かすのは一人一人の隊員たちだ。その彼らが持てる力を最大限に発揮するには日々の食事が重要なのは言うまでもない。陸上自衛隊の「野外炊具1号」や航空自衛隊の「炊事車」などは、野外で部隊が活動しても温かい食事を提供できる優れもの。士気高揚への貢献は無視できず、災害派遣でも被災者に元気を与える頼もしい存在だ。
陸自が保有する「野外炊具1号」はトラックなどで牽引でき、6個の大型かまどや発電機、野外冷蔵庫といった調理器具を搭載。今から半世紀以上前に登場し、時代の趨勢に合わせて2度の大幅なモデルチェンジを施された。最新型は平成22年に配備された「野外炊具1号(22改)」で、普通科中隊に相当する約200人分の食事を一度に作ることができる。
かまどは取り外し可能で、部隊が分かれて活動するときには分隊ごとに調理器具一式をトラックなどに積んで持ち運ぶこともできる。牽引式の利点はトラックの荷台を占有せず、荷降ろしも不要で迅速に食事作りに取りかかれる点にある。
1号の大型かまどはバーナーで下から加熱することができる。飯炊きや汁物、煮物などのほか、かまどの上に蓋をするように底の浅い釜を置けば、揚げ物や焼き物、炒め物も調理できる。