舛添知事公私混同問題

「他人に厳しく自分に甘い」「セコい」…舛添知事のだんまり作戦に政界はあきれ顔

定例記者会見を終え、頭を下げながら退室する東京都の舛添要一都知事=5月20日午後、都庁(早坂洋祐撮影)
定例記者会見を終え、頭を下げながら退室する東京都の舛添要一都知事=5月20日午後、都庁(早坂洋祐撮影)

高額な海外出張費に公用車での別荘通い、政治資金の「公私混同」疑惑-。次々と新たな問題が浮上し、火だるまとなった東京都の舛添要一知事。「他人に厳しく、自分に甘い」「セコい」「小さい」。ほかの知事や首長経験者だけでなく、都知事選で舛添氏を後押しした自民党の幹部からも批判、苦言が相次ぐ。そうした中、20日の会見では「私は都民の信頼を失っている。厳しい専門家の目で調べてもらう方がいい」と今後の調査を弁護士らに一任することを表明。説明責任を放棄し、だんまりを決め込んだ。どうなってしまうのか。

知事仲間からは集中砲火

「説明責任を全く果たしていない。政治資金を使ってせこくてずるいことを繰り返してきたのではないか」。神奈川県知事を務めた松沢成文参院議員は手厳しい。「多選の人が慢心して独善に陥ることはあるが、舛添氏はまだ1期目の途中なのに」とし「このまま説明できないなら潔く身を引くしかない」とした。

鳥取県知事のほか、政治資金を所管する総務相を務めた慶応大の片山善博教授も「舛添氏の説明で納得できる部分が全くない。知事を続けるのは、観客のいない劇場で踊るようなものだ」と厳しく批判する。

「自分に甘い」口火を切った下村元文科相

「舛添氏は他人に厳しく自分に甘いところがあるのではないか。自分を厳しく律することが必要だ」

舛添氏が定例会見で、政治資金収支報告書への私的な飲食費の計上を認め、謝罪した13日の夜。批判の口火を切ったのは、BS日テレの「深層NEWS」に出演した自民党の下村博文前文科相だ。

下村氏は文科相だった昨年5月、新国立競技場の建設をめぐり、500億円の負担を舛添氏に求めた際、「税金を出すのは都民」「根拠がない」と門前払いにされた経験がある。

舛添氏は当時、開閉式屋根などの一部工事が開会までに間に合わないことを強く批判。「誰の責任なのか。誰も責任をとらない体制は、大日本帝国陸軍と同じだ」と下村氏に強く辞任を求めるなど口撃を繰り返しており、冒頭の発言はこうした経緯を踏まえたとみられる。

下村氏は13日の番組で「言い訳のようにしか聞こえない。会計処理を厳しくするなどけじめをつけるべきだ」「もっと真摯に受けとめてやっていただかないと、政治不信につながる」と立て続けに舛添氏に対する批判を展開。これを皮切りに、知事選で舛添氏を応援した政権与党からも苦言が相次ぐことになる。

「猛省せよ」自民党幹部も苦言

続いて舛添氏の政治姿勢に苦言を呈したのは、安倍晋三首相の側近として知られる萩生田光一官房副長官。15日に舛添氏がインターネットオークションで絵画を落札していたことをフジテレビの「新報道2001」が報じると、番組に出演していた萩生田氏は「ちょっと違和感を覚える。直ちに違法性があるということではないが、一体それを政治活動の何に使ったのか」と指摘。「きちんと説明責任を果たすべきだ。(舛添氏の13日の)記者会見を拝見したが、一都民として非常に分かりづらかった」と批判した。

会員限定記事会員サービス詳細