皆さんは駅前や公園で鳩を見かけたことはないだろうか。スズメと並んで日本ではポピュラーな鳥であるが、公園のベンチに座り、その姿を観察しているとある疑問が浮かばないだろうか。一見すると何もない地面やアスファルトを懸命についばんでいるが、一体鳩は何を食べているのだろう……? 「教えて!goo」にも「鳩についての疑問」ということで、筆者と同じような疑問を投げかけている人がいた。そこで今回は地面をついばむ鳩が何を食べているのか、調べてみることにした。
■食べているのは、やっぱりエサ……?
上記「教えて!goo」に寄せられたベストアンサーによると、「鳩は特に眼が良い鳥です。畑に種をまくとどこからともなく一番に飛んでくるのが鳩です。私たちには見えないような小さな草などの種や、木の実、小さい虫、人間の食べ物の食べかすなどを食べています」(3199さん)という意見が寄せられていた。
ほかにも寄せられた意見で気になったのは、「人間が野鳥に餌を与えることほどよくないことはないって学者さんが言ってました。本来、その種が持つ生きる能力を奪ってしまうからです。それと必要以上に増えてしまうから。その結果苦しむのは鳥たちですからね」(3199さん)という意見である。なるほど。生き物の生態系というのは、非常に良くできているものだ。
■ついばんでいるのは、エサだけじゃなかった!?
一般ユーザーからは上記のような意見が寄せられていたが、専門家の見解はいかがだろうか? 一見何もない地面をついばんでいる鳩は、一体何を食べているのか。そんな素朴な疑問を獣医師の千田純子先生に尋ねてみたところ、以下の回答が返ってきた。
「小さなパンくずなどをついばんでいるのかもしれませんが、小石などを飲み込んでいるのかもしれませんね」(千田先生)
小石とは、意外な答えに感じた人も多いかもしれない。筆者も当初は、おそらく何かしらのエサをついばんでいるのでは……と思っていた。だが、エサならまだしも、どうして小石などをついばんでいるのだろうか?
引き続き千田先生が、その理由を教えてくれた。
「鳥は口で食物を咀嚼しないで飲み込みます。飲み込んだ食べ物は、筋肉質で硬い胃の中に落ちていきます。その食べ物はどう消化されるのかというと、飲み込んだ石によって、すりつぶして消化しているのです」(千田先生)
こうした事実を初めて耳にした人にとっては、実にビックリな答えに感じられたかもしれない。普段何気なく目にしている鳩が地面をついばむ光景だが、彼らの体の中ではこのようなミラクルが起こっていたのである。
ぜひ皆さんも一見何もない地面をついばむ鳩を見かけたら、この神秘的なメカニズムを思い出してほしい。
■専門家プロフィール:千田純子
獣医師・ペットドッグ認定トレーナーCPDT-KA・バッチ財団登録アニマルプラクティショナー。専門学校ちば愛犬動物フラワー学園講師。「ペット行動コンサルタントSENDA」では、動物行動学とホリスティック療法を使ってペットの問題行動の改善をしている。また、高齢者施設や障害児施設でアニマルセラピーを行っている。
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