普天間返還合意20年

額賀福志郎・元防衛庁長官「辺野古移設と北部振興は車の両輪」 V字滑走路ひらめいた

額賀福志郎氏
額賀福志郎氏

――V字案への変更にあたり重視したことは

「移設先の市町村の理解を得ることと普天間飛行場の危険を除去するため実現可能な計画であることだ」

「沿岸案は頭越しに決定され、知事も市町村長も賛成できないとの立場だった。地元の名護市長の了解が得られる計画であれば、知事も反対する理由はなくなると考えた」

――島袋氏との交渉は

「ヘリコプターが住宅上空を飛ばないよう要望を受けたが、滑走路の位置と角度をどう変えてもヘリは住宅やゴルフ場の上空を飛行する。かといって滑走路を沖合に出せば反対運動の妨害を受けやすくなる。2本の滑走路を造ればいいとひらめいた。V字案の設計図を書かせ、苦心惨憺(さんたん)の結果だと島袋氏に提示し、要望に配慮してもらったと同意を得た」

――次が知事の稲嶺恵一氏との交渉だった

「最初の会談は軍民共用と使用期限が配慮されていないと不調に終わったが、(1)名護市の同意は尊重する(2)安全保障政策の最終決定は政府の専権事項-との考えを稲嶺氏は示してくれた。その考えが基本確認書の背景には明確にある」

――稲嶺氏と交わした基本確認書は「V字案を基本として対応」と明記した

「稲嶺氏も反対はしないでV字案の協議をしていくということだ。名護市が同意し、県も市の同意を尊重する。米側もそれでいこうと。日米間の約束であり、行政的な決定事項でもある」

――稲嶺氏は暫定ヘリポート案も協議対象と

「名護市と話していないため対象にはならなかった」

――軍民共用と使用期限の条件を白紙化した

「島袋氏から条件を残してくれという話はなかった。稲嶺氏とも突っ込んだ話はしていない」

――辺野古移設と北部振興事業は「車の両輪」と発言したことがある

「普天間飛行場の危険を除去する辺野古移設が政治目標で、受け入れる北部地域を発展させることも政治目標になるから車の両輪だ。2つは同時進行であるべきで、お互い協力しなければ前には進められない」

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