真田丸の注目人物

直江兼続演じる村上新悟は大河に4年連続出演…1作に出るのも難しいのになぜ?

【真田丸の注目人物】直江兼続演じる村上新悟は大河に4年連続出演…1作に出るのも難しいのになぜ?
【真田丸の注目人物】直江兼続演じる村上新悟は大河に4年連続出演…1作に出るのも難しいのになぜ?
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NHK大河ドラマに、「真田丸」を含めて4年連続で出演している役者がいる。直江兼続(かねつぐ)役の俳優、村上新悟(41)だ。兼続は平成21年の大河「天地人」(妻夫木聡主演)の主人公にもなった人物。今作ではまだあまり登場していないが、クールで静かなたたずまいには存在感がある。「大河」は1作に出演するのも難しいといわれるが、村上の起用が続くのはなぜだろうか…。(本間英士)

いい声が評判「イケボ担当」

村上はこれまで、25年の「八重の桜」(大山格之助役)、「軍師官兵衛」(大谷吉継役)、「花燃ゆ」(久坂玄機役)、そして今回の「真田丸」と、4つの大河ドラマに連続して出演。19年の「風林火山」(春原惣左衛門役)も含めると、大河ドラマ出演は4年連続5度目となる。

直江兼続は、上杉景勝(遠藤憲一)に仕えた重臣。「真田丸」ではクールな人物として描かれており、おおらかな景勝とは対照的だ。「『真田丸』の兼続は、『愛』と『義』の人であるのと同時に、国を維持するための冷徹さもある。裏切り者を磔(はりつけ)にする場面もある。僕の兼続と妻夫木さんの兼続は、おそらく全然違うと思います」

演技で気をつけているのは、「姿勢と視線」だという。「どの武将より凛(りん)としていよう、と思っています。あとは、視線ですね。視線は真田信繁(堺雅人)を見ていても、意識は御館様(景勝)に向いている-という演技をすることもあれば、その逆の場合もあります」

この「基礎演技力」の高さが起用理由のようだ。屋敷陽太郎チーフプロデューサー(CP)は村上さんについて、「スタッフが口をそろえるのが、村上さんの時代劇の所作は素晴らしいという点です。4年連続というのは意識していませんが、姿勢や『見得(みえ)』の切り方、視線の動きなどがこなれている。それに、声がいいですよね」と評価する。

確かに、かなり低いのによく通る独特の声が、インターネット上の「真田丸」ファンの間で話題となっている。一部からは、「イケボ(イケメンボイスの略)担当」「いい声担当」という愛称も。「高校生のときから声は変わっていないんですよ。この声の高校生は、ギャップが激しすぎたと思う(笑)」

笑顔がすてき

村上が俳優を目指したきっかけは、幼なじみの親友から、俳優養成所「無名塾」の存在を教えてもらったこと。俳優の仲代達矢が主宰し、多くの実力派俳優を輩出している養成所だ。村上は22歳で初めて試験を受けたが、落選。26歳の時に年齢制限ギリギリで合格する。

無名塾には14年所属したが、昨年に重大な決断をした。「無名塾を辞めたんですよ。いつまでも師匠(仲代)におんぶに抱っこも嫌だったので、いったん区切りを付けて、一役者として勝負を賭けなきゃだめだな、と。そういう意味で、大河に4年連続で使っていただけることはありがたいと思います」

役者歴からは苦労人の側面をうかがわせるが、取材で浮かべる笑顔は爽やかだ。

共演する堺雅人は以前、村上の笑顔について、「かわいいですよね。どこかで使えばいいのでは?」と発言。屋敷CPも「村上さんは一見クールでドライそうに見えますが、目の奥に『実はこの人、いい人なんだな』という光がある。ニコっと笑顔になると、とてもすてきですよ」と語っており、今後兼続が笑うシーンも登場するという。

兼続のトレードマークといえば、有名な「愛」の文字をあしらった兜(かぶと)。「僕が初めて直江兼続を知ったのは、漫画『花の慶次』。『かっこいいなぁ』と思っていましたが、まさかその数十年後、その兜を僕がかぶるとは思っていませんでしたね…」。少しのシャイさを感じつつも、役者らしい堂々とした、すてきな笑顔だった。

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