ビジネスの裏側

村上ファンドが宣戦布告 「日本に企業統治を浸透させる」 リターンマッチは8・21黒田電気株総

阪神電気鉄道の株式を大量保有し、経営陣と会談後に取材に応じる村上世彰氏=平成17年10月、大阪市福島区
阪神電気鉄道の株式を大量保有し、経営陣と会談後に取材に応じる村上世彰氏=平成17年10月、大阪市福島区

 かつて「村上ファンド」を運営し、大阪証券取引所(大証、現大阪取引所)や阪神電気鉄道の株式を大量に取得して関西経済界を震撼させた村上世彰(よしあき)氏が再び表舞台に戻ってきた。株式を買い進めた黒田電気には自身を含む4人の社外取締役選任を求めており、21日に大阪市内で臨時株主総会が開かれる。自身が必要性を訴えた企業統治(コーポレートガバナンス)の強化が日本で広がってきたことが背景にありそうだが、関西経済界では「物言う株主として名を馳せた以前の手法そのまま」とささやかれる。(牛島要平)

哲学は「株主価値」

 村上氏の長女、絢(あや)氏が代表取締役を務める投資会社のC&Iホールディングス(東京)は村上氏や関連会社とともに、黒田電気の株を昨年12月ごろから買い進め、今年7月10日現在で計約16%保有している。

 C&Iなどは、黒田電気に対し、利益の100%の株主還元やM&A(企業の合併・買収)の推進などを求め、村上氏ら4人を社外取締役に選任するよう株主提案。黒田電気は21日に大阪市内で臨時株主総会を開き、提案を採決する。

 「私はコーポレートガバナンスという概念を日本に浸透させることをライフワークにしてきた。コーポレートガバナンスとは、経営者が株主に説明責任を果たすこと、株主価値の最大化を目指すよう株主が導いていくこと」

 村上氏は社外取締役候補としての所信を記載した7月3日付の黒田電気株主宛て文書で、目的をそう記している。批判を浴びた村上ファンド時代の投資手法についても次のように説明し、今回の行動が当時からの一貫した「投資哲学」に基づくと訴えている。

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