なめらかな食感で、素材の味をダイレクトに感じられるジェラート。27日の「ジェラートの日」を前に、山陰両県のこだわりジェラートを紹介する
なめらかな食感で、素材の味をダイレクトに感じられるジェラート。27日の「ジェラートの日」を前に、山陰両県のこだわりジェラートを紹介する

 8月27日は「ジェラートの日」。ジェラートはイタリア発祥のスイーツで、一般的なアイスクリームと比べて柔らかい食感が特徴で、なめらかで濃厚な味わいを楽しめる。山陰両県で人気のジェラートを2回に分けて紹介する。(Sデジ編集部・宍道香穂)

 ジェラートは生産者によって作り方は異なるが、基本は凍らせた材料をミルクやクリーム、砂糖、水などと混ぜて作る。作る時によく練り上げることで、独特の柔らかさやなめらかさが出るという。ミルクやクリームを加えず、さっぱりとしたシャーベットのような味わいに仕上げたものを「ソルベ」と呼ぶ。

 大手メーカーが大量生産するアイスクリームと比べてジェラートは小規模な工房で作られていることが多く、材料や製造環境、職人のこだわりによる味の違いがダイレクトに出やすいという。店ごとに味の違いを楽しめる「手作り感」もジェラートの魅力の一つだ。

 「ジェラートの日」は主人公とヒロインがジェラートを食べるシーンが印象的な映画「ローマの休日」が公開された日にちなみ、日本ジェラート協会(東京都豊島区)が制定した。前編では島根県内でジェラートを販売する2店を紹介する。

▷KAKA.IZUMO(カカ イズモ)=出雲市江田町
 3月にオープンしたKAKA.IZUMO(カカ イズモ)は出雲ドームから約1キロ西側で、農道から入った道路沿いにある。地産地消をコンセプトにし、地元産の果物やオリジナルの焼き芋を使ったジェラートを用意する。価格はミニサイズ300円、シングル400円、ダブル500円、トリプル600円。夏休み期間の8月末までは小学生以下を対象に、ミニサイズを特別価格の100円で販売している。

出雲市江田町、KAKA.IZUMO(カカ イズモ)

 その日に用意できる旬の果物などを使い、季節ごとに種類を変えながら12種類のジェラートを並べている。1番人気は「プレミアムミルク」。岡山県の蒜山ジャージー牛乳の最高級品(プレミアム)を使い、濃厚なミルクの味を存分に感じることができる。

 壺に入れて焼いた焼き芋を使用した「壺焼きいも」のジェラートも人気という。「壺焼きいも」はサツマイモを低温でじっくり焼き上げるため蜜がしっかりと出て、しっとりと甘い焼き芋に仕上がるとのこと。甘さたっぷりの焼き芋をミルクに混ぜたジェラートは、濃厚な味わいとサツマイモの優しい風味を楽しめる。サツマイモはなるべく出雲市特産の「西浜いも」を使用しているという。

 今の時期は益田市産の「アムスメロン」や出雲市産のシャインマスカット、鳥取県産のスイカを使ったジェラートなど夏を感じるジェラートが並ぶ。秋からはイチジク、柿、栗といった材料を使ったジェラートの販売を予定していて、楽しみだ。

定番商品の「プレミアムミルク」や「壺焼きいも」のほか、益田市産の「アムスメロン」、出雲市産のシャインマスカットなど、12種類のフレーバーが並んでいる

 看板メニューの「壺焼きいも」と季節限定の「すいかソルベ」のジェラートを食べてみた。
 「壺焼きいも」のジェラートは一口食べた瞬間、サツマイモの風味がふんわりと口に広がる。なめらかな食感のジェラートと甘いサツマイモの相性はぴったりだと感じた。サービスでトッピングされているサツマイモチップは、ほんのりと塩味が効いていて、甘いジェラートと一緒に食べるとよりおいしい。
 「すいかソルベ」は、ミルクを使わずシャーベットのようなさっぱりとした味わいに仕上げている。スイカの爽やかな甘みやほのかな酸味を感じられる、夏にぴったりのジェラートだ。よく見るとスイカの種に見立てたチョコチップが入っていて、味のアクセントになっている。

人気の「壺焼きいも」と季節限定の「すいかソルベ」のジェラート。サービスでトッピングされるサツマイモチップもおいしい

 運営する中浦食品出雲営業所の桐原裕幸所長は「ジェラートは素材の味がダイレクトに出るため、材料にこだわっている。特に牛乳や生クリームは、さまざまな種類で試作しながら選んだ」と話した。ジェラートに使う牛乳は「プレミアムミルク」にも使用している「蒜山ジャージー牛乳」の最高級品。生クリームも最高級品で北海道産を使っている。また「ジェラートは作りたてが一番おいしい」とし、毎日その日の朝に作った新鮮なジェラートを販売している。
 営業時間は午前10時~午後6時。定休日は水曜と第1、第3火曜。


▷Lago SENTO(ラーゴ セントウ)=松江市浜佐田町
 「ヤギがいるカフェ」として話題のLago SENTO(ラーゴ セントウ)は2021年8月にオープンし、ヤギのミルクを使用したジェラートを製造、販売する。国道431号線沿いにあり、宍道湖沿いの喫茶店「珈琲館」から約150メートル離れた場所にある。店の敷地内で6頭、松江市大垣町の牧場で10頭のヤギを飼育する。ジェラートの価格はシングル300円、ダブル500円、トリプル700円、5種盛り700円。

毎日約10種類のジェラートを用意している。チョコミント、フランボワーズなどカラフルなジェラートが並ぶショーケースは見た目も楽しい

 ジェラートはヤギのミルクを使用した「ヤギミルク」「イチゴミルク」のほか、マンゴー、フランボワーズ、チョコレート、ほうじ茶も用意し、約10種類が並ぶ。定番の味のほか、季節限定でパイナップルなど旬の果物を使ったジェラートも用意する。最近販売を始めたというクロモジ味は香りの良さを楽しめると人気という。

 一番人気はやはり「ヤギミルク」。ヤギのミルクというと一般的にはなじみが薄く「くさみが強いのでは」とのイメージを持つ人が多いが、実際は臭みはそれほど強くないという。コクがあり濃厚、クリーミーな味わいで、牛乳と比べて甘みが強いのも特徴だ。

抹茶ジェラートとヤギミルクジェラート。ほっこりとやさしい色合いに癒やされる

 ヤギのミルクは濃厚な味わいや甘み以外にも魅力がある。例えば、ヤギのミルクは牛乳アレルギーの原因物質である「as1ガゼイン」の含有量が少なく、アレルギー反応が起こりにくいとされている。ラーゴセントウで提供しているジェラートには牛乳も混ざっているが、ヤギのミルクだけを飲む場合は牛乳アレルギーを起こしにくいという。
 また、ヤギのミルクは腸での吸収率が高く、牛乳でおなかを壊しやすい人でも安心して飲めたり、ペットに与えることができたりと、うれしいポイントが多い。

 看板商品の「ヤギミルク」のジェラートを食べてみた。今までに食べたことのあるミルクアイスと比べると確かに甘みが強い。ヤギというと独特の香りが強いイメージだったが、ヤギミルクのジェラートは臭みが少なく食べやすい。甘みは強いがさっぱりとした味わいで、食後に甘ったるさが残らないのがうれしい。

店の敷地内で飼育しているヤギ。餌を持って行くと愛らしい表情を浮かべて走り寄ってくる

 店の隣にはヤギと触れ合えるスペースがある。現在は6頭の愛らしいヤギたちがいて、100円で餌やり体験ができる。店の外にあるベンチでジェラートを食べながら、かわいらしいヤギを眺めて癒やされている客も多いという。
 営業時間は午前10時~午後5時半。休日は午後6時まで。月曜定休。

 後編も引き続き、山陰両県の専門店のこだわりジェラートを紹介する