肥後雑煮&島原具雑煮

歴史ある伝統料理

肥後雑煮&島原具雑煮

肥後雑煮とは?
「肥後京菜」、「熊本長にんじん」、「水前寺もやし」など、古くから栽培されてきた「ひご野菜」をふんだんに使ったお雑煮。かつおと昆布でだしをとり、具となる鶏肉を加えて薄口醤油で味をつける。熊本ではあん餅を入れる地域もあるのだとか。




材料(四人分)


【つゆ】
昆布とかつおのだし……600cc
塩水……50ccの水+5gの塩
薄口醤油……小さじ2

【具材】
肥後京菜……1束
熊本長にんじん(短冊切り)……1本
水前寺もやし……適量
大根……5mmの厚さ
鶏肉……150g(一口大に切って熱湯をかけておく)
丸餅……4個
水前寺のり(あれば)……適量
柚子皮……適量

作り方


【1】
昆布と鰹節でだしをとる。塩水で味を整え、薄口醤油で香りづけをする。

【2】
野菜は下茹でしておき、熊本長にんじんと大根は鶏肉と一緒にだしに入れて炊く。肥後京菜は茹でた後食べやすく切り、水前寺もやしは下茹でした後、結んでおく。

【3】
丸餅を焼く。大根を敷き、各具材を盛り付け、だしをかける。柚子皮と水前寺のりを添えて完成!

ポイント

①熊本長にんじん
まるでごぼうのように長く、甘みが強い伝統野菜。毎年12月25日のみ青果市場で扱われるのだとか。
※一部農産物の販売所で12〜3月頃まで販売
②水前寺もやし
江津湖の水で育った大豆もやしのこと。下茹でした後、根も一緒に結んで入れる。縁起が悪いので“切る”はNG!
くまもと日本料理 おく村
2020年に創業150年を迎える老舗日本料理店。熊本の伝統料理を今に伝える貴重な存在として知られている。

熊本市中央区新町1-1-8
TEL.096-352-8101
営業時間.11:30~14:00(13:30LO)、17:00~22:00 ※完全予約制
店休日.不定休
昼平日2,500円〜、土日祝3,000円〜、夜6,000円〜
MAPはこちら→




島原具雑煮とは?
島原・天草一揆(1637年)の際、農民たちが戦いに備え、餅や山海の幸を蓄えておき、雑煮にして栄養を取っていたのが具雑煮の由来。数種類の野菜、肉、魚、玉子など、10種類以上の具材が入っており、今も島原地方の家庭で作られている郷土料理として知られています。




材料(四人分)


【つゆ】
干し椎茸(水で戻し、軸をとって細切りに)……4個
昆布……10g
鰹節……10g
手羽先……300g(店では先のみを使用)
水……1000cc程度
酒……大さじ3強
みりん……大さじ2
薄口醤油……大さじ4
塩……小さじ1

【具材】
白菜(茹でてざく切り)……320g
にんじん(細切り)……100g
大根(茹でて銀杏切り)……100g
ゴボウ(細切り)……100g
鶏肉(一口大)……160g
高野豆腐……20g
かまぼこ……8枚
錦糸卵……20g
穴子……4枚
春菊……20g
角餅……4個(1個を4つに切る)

作り方


【1】
干し椎茸を水200ccにつけて一晩置いておく。各材料を切っておく。白菜と大根は下茹でし、錦糸卵をつくっておく。あなごは3cm幅に切って炙る。

【2】
椎茸の戻し汁に昆布を入れて火にかけ、沸騰寸前で止める。別鍋に水800ccと手羽先、鶏肉を入れ、灰汁をこまめに取りながら中火で30分煮る。鶏肉と手羽先に火が通ったら取り出し、椎茸、昆布の出汁を入れ、強火にして酒、みりん、薄口醤油、塩を入れ、最後に鰹節を入れて沸騰したらつゆの出来上がり。

【3】
【1】の具材と、【2】の鶏肉を鍋に並べる。【2】のつゆを入れて強火で煮る。餅が柔らかくなったら完成。

ポイント

①白菜の茹で方
白菜の下茹では強火でサッと茹でて、火が通りすぎる前にザルにあげ、冷水にさらし、水気をしっかり絞る。
②だし
黄金色に仕上げるため、鶏肉のアクをしっかり取る。鰹節はキッチンペーパーなどにくるむと煮出しやすい。
めがね橋茶屋 花ござ
眼鏡橋のたもとにある落ち着いた雰囲気の食事処。具雑煮や甘ざらしなど島原の郷土料理をはじめ、夜は和洋の創作料理も楽しめる。

長崎市古川町3-7
TEL.095-818-8753
営業時間.11:30~14:30(LO)、17:00~24:00LO(金・土曜は~翌2:00LO)
店休日.日曜休
花ござ名物 具雑煮850円
MAPはこちら→






Q1 だしは何ですか?


鶏ガラや焼き海老、するめでだしを取るというご意見も。焼きあごと昆布やしいたけなど、複数を合わせる方も多いようです。


Q2 味付けは?


つゆにはいろいろなバリエーションがありましたが、味付けは醤油・塩を加えたおすましタイプが87%と圧倒的に多いようです。

実家のある朝倉では、茶碗蒸しの中に餅が入った「蒸し雑煮」を食べます。地元の飲食店では伝統料理として、アレンジした「蒸し雑煮」も提供しているようです。


Q3 具材は?


野菜類

1位 人参 | 2位 大根 | 3位 かつお菜
人参、大根は各県共通のようです。里芋、椎茸も多数。福岡以外では、かつお菜の代わりに白菜やホウレン草、水菜、三つ葉などが使われています。

魚介類

1位 ぶり | 2位 海老 | 3位 鯛
福岡、長崎でぶりと答えた方が多かったようです。海老や鯛は縁起物でもあり、彩りもよく、お雑煮がとても華やかになります。

小倉にある父の実家では、ぶりの代わりに鯛やアラを入れます。だしも焼きあごではなく、焼きはぜで取ります。

肉類

1位 鶏肉 | 2位 豚 | 3位 牛肉
ほとんどのご家庭で鶏肉を入れているようです。豚肉や牛肉はそれぞれ20人以下とかなり少数でした。

名古屋出身の母は、お歳暮でいただいた高級ハムを厚切りにしてお雑煮に入れます。
子どもが鶏嫌いだったので、牛肉を入れ、甘めに仕上げるようになりました。ごぼうや椎茸とよく合います。
つゆが余ったら、翌日は鴨団子を入れて違った風味を楽しみます。

その他

1位 かまぼこ | 2位 昆布とするめ | 3位 卵焼き、伊達巻
高野豆腐や焼き豆腐、ちくわという意見も。

納豆を入れます。別皿に盛って、お餅に絡めて食べるところもあるそうです。
長崎は捕鯨が盛んだった名残から、鯨のウネ(アゴの部分)が入ります。鯨独特の風味がたまりません。
餅を1cm角に切って焼いて入れると、香ばしくて食べやすいのでオススメです。
※価格はすべて税込です。


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この記事は&and183号に掲載されています。

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