トークショーで、竹久夢二の作品の魅力などを語る緒川たまきさん=佐賀市の佐賀県立美術館ホール

トークショーで竹久夢二の作品の魅力などを語る緒川たまきさん(左)と安達敏昭さん=佐賀市の佐賀県立美術館ホール

 佐賀市で開催中の叙情画家竹久夢二の新春特別展(佐賀新聞社主催)で、「夢二ファン」で知られる女優の緒川たまきさんのトークショーが8日、会場の佐賀県立美術館で開かれた。大正ロマンの代表作家の魅力を柔らかい語り口で紹介し、名作から挿絵まで並ぶ多彩な作品を見て「パーフェクトな展覧会」と評した。

 緒川さんは小学3年の頃、作品「黒船屋」の猫に興味を引かれたといい、「成長期には自分がコンプレックスに感じていた長い腕や大きな手が、夢二の絵の女性は美しく描かれていて、いろんな価値観があることに気づかされた」。作品にのめり込むようになった理由を熱っぽく語った。

 独自の“夢二式美人”のモデルになった岸たまきにちなんだ芸名であることも明かし、「芯が強く、頼もしい女性という印象。名前に恥じないようにしようと思った」と述べた。

 特別展について「大作や絵はがきなど作品ごとの優劣を感じさせず、どれも情熱が伝わってくる。夢二の違った側面に気づいてほれ直すこともでき、それぞれの心奪われる絵を堪能してほしい」と笑顔で話した。印象的な作品として、夢二が晩年にドイツのベルリンで描いた「舟泊り」を挙げた。

 一緒に出演した夢二研究家の安達敏昭さん(福岡県大牟田市)は、夢二が詩人に憧れていたことを解説し、「夢二の絵は詩。文字の代わりに絵の形式で詩を描き、心の優しさが伝わる」と指摘した。トークショーは約320人が参加した。

 特別展の開場時間は午前9時半から午後6時(最終入場は午後5時半)まで。休館日は10、16、23、30日、2月6日。観覧料は一般千円、中高生500円。小学生以下は無料。(山本礼史)