2022年02月01日掲載

労働基準法の基礎知識 - 平均賃金

平均賃金の算定が必要な場合

 平均賃金の算定が必要になるケースとしては、解雇予告手当を支払う場合や使用者の都合によって労働者を休業させる際に休業手当を支払う場合、年休取得中の賃金に関する場合などがあります。

平均賃金の算定方法

 平均賃金は、次の式により算定します。

算定すべき事由の発生した日以前3カ月間の賃金
その期間の総日数(暦日数)

 「その期間の総日数」とは総暦日数のことであり、その期間中の労働日数ではありません。

●算定期間
 条文では「算定すべき事由の発生した日以前3箇月間」とありますが、算定事由が生じた当日は、休業などにより平均賃金の算定に向かない面があるためこの期間には含めず、「その前日からさかのぼる3カ月」を算定期間とします。また、賃金締め切り日がある場合には、その直前の賃金締め切り日から起算します。
 この3カ月間に、①業務上負傷し、または休業した期間、②産前産後休業期間、③使用者の責めに帰すべき事由により休業した期間、④育児・介護休業期間、⑤試用期間がある場合には、平均賃金が不当に低くなることを避けるために、これら期間の日数および賃金を上に掲げた式から除きます。

●賃金
 「賃金」の総額には、通勤手当や年休の賃金など、労基法にいう賃金のすべてが含まれます。
 上記の式の分子である賃金の総額には、①臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当など)、②3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(年2回の賞与など)、③通貨以外のもの(いわゆる実物給与)で支払われた賃金で一定のものは算入しません。

平均賃金の算定例

●5日分の休業手当を算定する場合

賃金の総額に含まれるもの

●賃金ベースが遡及して改定された場合

平均賃金は「算定事由発生時」において算定するものであるため、すでに算定事由が発生(8月10日)した後に賃金ベースが改定されたのであれば、「旧ベース」によって算定する
➡上記の場合で8月25日に算定事由が発生したときは追加額を含めることになる

●通勤手当
平均賃金の計算上、賃金に算入する
➡6カ月定期券であっても、各月分の賃金の前払いとして算定基礎に含まれる

この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円
(URL:https://www.rosei.jp/store/book/9123
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