【もっと挑戦!福井人】vol.3 福野泰介さん/こどもプログラミングの仕掛け人、福井で輝き続ける理由とは

最終更新日 2022年3月8日ページID 049027

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キーワードは「もっと挑戦!もっとおもしろく!」。
自分らしくチャレンジを続ける福井人にフィーチャーする連載の3人目のゲストは、株式会社jig.jp創業者&取締役会長の福野泰介さんです。
IT時代に「若者は東京をめざせ!」という言葉に違和感を覚えて、福井で事業を続けようと決心されたとのこと。
そんな面白いエピソードに迫ります!
(聞き手は福井県未来戦略アドバイザー・太田)

 
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株式会社jig.jp 創業者&取締役会長 福野泰介 氏
1978年石川県出身、1999年福井工業高等専門学校電子情報工学科を卒業後、フリープログラマーとして活躍。
2000年5月に有限会社シャフトを設立しCTOに就任。2001年にUNI研究所を設立、代表取締役に就任。
2003年5月株式会社jig.jpを設立し代表取締役に就任。2018年に同社取締役会長に就任し、現在に至る。




目次

1プログラミング一筋だった学生時代
2「若者は東京をめざすべき」に、納得がいかなかった

3全国に広がった”こどもプログラミング”
4未来のエンジニアに送るメッセージ






プログラミング一筋だった学生時代

―小学生からプログラミングを始められていますよね。福野さんがどんな学生だったか、とても興味があります。


とにかくプログラミングが大好きでしたね。小中学生の頃って、まだ自分のパソコンを持っている人が少なかったので、友人からは”変なヤツ”と思われていたみたいです(笑)。周りは変人ばかりと思って入学した福井高専でも、友人からはやっぱり”変わっている”と思われていたみたいです。でも基本的に周囲のことはまったく気にしない性格なので、自分の好きなことをただひたすらやっていたという感じです。



―いま振り返ると、学生時代にこれをやっておいて良かったなということはありますか?


プログラミングのアルバイトをしていました。先輩の紹介で行ったIT企業の社長から「こんなソフト作ってね」と言われ、出来たら「じゃあ3万円ね」といった具合で。高専の3年生の頃だったと思いますが、県外出張で客先に納品をしに行ったこともありましたよ。学校をサボって(笑)。いま振り返ると、自分が作ったものが、人の役に立って、自信につながるという、素晴らしい経験だったと思います。

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「若者は東京をめざすべき」に、納得がいかなかった

―そして、高専卒業後、すぐに会社を立ち上げられました。


私、結構行き当たりばったりなところがあって、最初の会社も、「会社を立ち上げてみたら」という周囲のアドバイスを受けて、友人と「じゃあ会社やっちゃう?」みたいなノリで始めました。でも現実はそんなに甘くなくて、当初やりたかった仕事はなかなか出来ず、頼まれ仕事がどんどん増えていきました。

そんな時に、某通信事業者によって世界で初めて携帯電話のアプリが誕生しました。私は、「これ面白いでしょう」と同僚に話したのですが、「いやいや、市場性がないよ」と言われ、「じゃあ会社辞めて僕はそっちをやるよ!」と。やりたい事が出来ないのなら、自分で出来る環境を作ればいいと考えて出来たのが今の株式会社jig.jpです。



―jig.jp社は、鯖江市に開発センターを置かれていますよね。福野さんは、「鯖江市から世界を目指す」ということを掲げていらっしゃいますが、福野さんが感じる福井の魅力って、どんなところにありますか?


やっぱり「人」です。福井の人って、みんな福井の事が好きなんですよね。私は中学3年生の時に福井に引っ越して来たのですが、同級生から「ようこそ!君はいいところに来たね」と歓迎してくれました。「福井しか知らないのに、何で分かるの?(笑)」と思いましたが、子どもから大人まで、みんなビックリするくらい福井が好き。今では、私も福井のことを大好きになりました。福井が好きで、よくしようと思っている人が多いというところが福井の強みだと思います。



―それで、東京ではなく、福井で勝負しようと。


そうですね、直接のきっかけになったのは、IT企業、サイバーエージェント社長、鯖江市出身の藤田さんを迎えた福井でのイベントの時のことです。福井の若者代表の一人としてパネルディスカッションに参加した際、藤田さんは「福井の若者は東京を目指すべき」との発言に「ネットの時代だからこそ、福井から世界を目指します!」と反論しました。イベントが終わった後、「よく言ってくれた福野君!」と本当に多くの方が駆け寄ってくれて、「こんなにアツい人がいっぱいいるんだ」と。その瞬間、福井でチャレンジしたい気持ちが固まりましたね。


実際、福井県で仕事をしてきて、メリットは多かったなと感じます。東京にはIT企業も多いので、IT業界どうしのつながりは濃いのですが、業界を超える関わり合いとなると途端に少なく、また協業する際も時間がかかってしまいます。その点、福井だと、業界を超えていろんな人と繋がれるし、すぐに行動に移せます。行政と一緒に仕事をする事も多かったのですが、牧野市長をはじめ、鯖江市役所の職員の方々の仕事がとっても速いのも嬉しかったですね。

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全国に広がった”こどもプログラミング”

―2014年に、代名詞とも言える”こどもプログラミング”の活動を始められました。これは、どんな思いからだったのですか?


2つあります。1つは、私の会社の中核を担うのはエンジニアなのですが、プログラミングが嫌いな高専生が増えてきてしまっているので、そこをどうにかしたいなという思いからです。もう1つは、プログラミングへの恩返しです。自分が小学校3年生の時にプログラミングの面白さに出会って、それを生業とし、プログラミングを通じて色々な活動をさせてもらってきました。今の子どもたちにも、このプログラミングの面白さをどんどん伝えていきたいですね。




―この”こどもプログラミング”の活動ですが、今後の展望などはありますか。


そうですね、いまIchigoJam(プログラミング専用パソコン)は、累計6万台を世に出すことが出来、プログラミングに触れるきっかけづくりは出来てきたかなと思います。これからは、そこから第一線のエンジニアに育つための最短手順を考えてみたいですね。現在私は、福井高専の未来戦略アドバイザーという肩書でも活動させてもらっているので、まずは高専でも実践につなげたいです。

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未来のエンジニアに送るメッセージ

―最後に、エンジニアを目指す若者にエールをいただければと。よく、学生の方から、「やりたいことがわからない」「一歩踏み出せない」と聞きます。


私も、学生と触れ合う機会は多いので、それはよく聞きますね(笑)。まず、「やりたいことがわからない」ということについてですが、興味のあるところから掘っていくしかないかと。あと、オススメなのは、同世代でカッコいいことをやっている人に会って話を聞いてみると、色んなものが見えてくると思います。


あと、「一歩踏み出せない」ということですが、例えばF1ドライバーになりたいという夢があったとして、いきなりサーキットを走れと言われたって無理でしょう(笑)。まずはゴーカートに乗ってみる、ゲームで体験してみる、目的や手段を分解して、一番近いところから、出来るところから始めてみると良いと思いますよ。




―分解して出来るところから始める、というのはまさにプログラミング的な思考ですね。福井にいる若者にもメッセージをいただけますか。


繰り返しになりますが、福井の魅力は「人」です。困っている若者がいたら、助けてくれる大人はたくさんいるので、まずは県内を歩き回ってみてほしいですね。あとは、とにかく失敗すること。プログラミングの良いところって何度も失敗できるところなんです。早く失敗することが成功の最大の秘訣。人生も同じだと思うので、色んな失敗をして、成長していってほしいですね。同時に、大人が失敗に寛容であること、失敗してもいい環境を用意してあげることも大事だと思います。




―福野さん、ありがとうございました。私自身も大変参考になるお話を伺うことが出来ました。


(おわり)



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