京都市美術館の館90周年記念展からミニマル・アートの展示まで【今月の展覧会2選】

  • 文:青野尚子(アートライター)

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現代美術家・村上隆が読み直す、日本美術の歴史と現在

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『尾形光琳の花』(参考画像)2023年 デザインデータ Φ120㎝ Ⓒ 2023 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

日本美術を独自の視点で読み直し、新たな表現に挑戦している村上隆。その彼が日本美術の総本山ともいえる京都で個展を開いている。岩佐又兵衛『洛中洛外図屛風(舟木本)』を引用した長さ13mの『洛中洛外図』、曾我蕭白『雲龍図』に挑んだ全長18mの『雲竜赤変図』、平安京を護るとされた白虎などの神獣をモチーフとしたオブジェによる村上版『平安京』などが並ぶ。古都の伝統文化や京都を主題とする文学作品から着想した作品も展示された、村上の京都案内ともいえる個展だ。

京都市美術館開館90周年記念展
『村上隆 もののけ 京都』

開催期間:~9/1
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
TEL:075-771-4334
開館時間:10時~18時 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合は開館) 
料金:一般¥2,200
https://takashimurakami-kyoto.exhibit.jp

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ミニマル・アートを代表する作家の作品と詩から見えるものとは

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カール・アンドレ『メリーマウント』1980年 ポーラ・クーパー・ギャラリー © 2023 Carl Andre / Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery, New York. photo: Steven Probert

1960年代後半のアメリカを中心に興ったミニマル・アートの代表的な彫刻家で、今年1月に没したカール・アンドレの、日本の美術館では初めての個展。床に石や木の立方体を並べた静謐な作品のほか、横幅15mもの金属板による彫刻と壁との間を歩くことができる作品などが並ぶ。なかでも、これまであまり知られていなかったアンドレの詩をまとまったかたちで見ることができるのはうれしい。空間、文学、歴史、政治など、彼の幅広い思考に触れることができる展示だ。

『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』

開催期間:3/9~6/30
会場:DIC川村記念美術館
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時30分~17時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(4/29、5/6は開館)、4/30、5/7
料金:一般¥1,800
https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition-past/2024/carlandre

※この記事はPen 2024年4月号より再編集した記事です。