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OTV報道部

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2023年1月 沖縄ニュースまとめ 沖縄テレビ報道部が8つのニュースをピックアップ

OKITIVEでは月に1度、政治・経済・事件・事故・スポーツ・文化などすべてのカテゴリーのなかから、沖縄テレビ報道部がOTVの8チャンネルにかけて8つのニュースをピックアップして、振り返ります。

目次

①中山きくさん死去 平和の語り部が旅立つ

沖縄戦で学徒動員 戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えた中山きくさん死去

中山きくさん 遺した言葉 託した思い

元学徒・中山きくさん告別式 平和を想うバトンを受け取る

中山きくさん死去 平和の語り部が旅立つ

78年前の沖縄戦で、県立第二高等女学校に在学中に傷病兵の看護にあたる「白梅学徒隊」の一員として戦場に駆り出された中山きくさんは、戦後、自らの体験を語り継ぎ、戦争の悲惨さや平和の尊さを後世に伝えようと力を尽くした。享年94

沖縄戦で学友22人を失った凄惨な記憶。自らの体験を語れるようになるまで50年の歳月を必要とした。次世代を生きる人に戦争のある人生を歩ませまいと、中山さんは語り部の活動を25年以上も続けてきた。

2015年5月に普天間基地の名護市辺野古への移設阻止を訴える県民大会で登壇し、「軍事基地は戦争につながるだけでなく、人権侵害の最たるものであることは、沖縄戦で得た教訓、二度と沖縄が戦場になること危険を取り除かなければならない」と訴えた。

2022年6月23日の慰霊の日、中山さんの姿は沖縄戦で犠牲となった友の名が刻まれた白梅の塔にあった。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻など、世界で過ちが繰り返されていることに胸を痛めていた。

▽中山きくさん(2022年6月23日):
「いまは悔しいですよ。どうして戦争というものを私たちは沖縄のためだからと言って
一生懸命協力しましたからね。戦争体験者の思いを汲んで、そして、戦争には正義はないと、とにかく話し合いで解決していくように」

1月17日、中山さんの告別式が執り行われ多くの関係者が別れを惜しんだ。

▽白梅同窓会武村豊さん(94)
「戦争に対する考え方もそれから家族に対する考え方、たくさんたくさん色んなことを教えてもらいました」

▽元学徒の証言を継承する若梅会 いのうえちず会長
「思っているだけでは平和は来ないということで行動しなさいといつもおっしゃっていました。受け継いでいくものは変わりませんので、これまで通りに白梅学徒隊の沖縄戦を語り継ぐという気持ちです」

▽沖縄尚学高校地域研究部3年 登川拓磨さん
「自分たちは部活で継承活動をやっているんですけどそのきっかけとなったのがきくさんの活動だったので、本当に悔やまれる気持ちでいっぱいです」

▽ひめゆり平和祈念資料館 普天間朝佳館長
「優しさの中にも強さがある方で全女子学徒のことをしっかりと後世に伝えていこうと活動・尽力なさって、本当に尊敬すべき先輩だなと思っています」

力の限り言葉を紡いできたきた中山さん。平和を願う思いを次世代に託し旅立った。

②安保3文書改定について県民世論調査

大国の狭間で 沖縄県民の国防・安全保障に関する認識は

安保3文書改定にかかる県民世論調査

沖縄テレビとJX通信社は1月14日と15日、県内全域を対象に安保3文書改定にかかる世論調査を実施し、県民542人から回答を得た。

この中で、敵のミサイル発射基地などを直接攻撃できる「反撃能力」が明記されたことについて、日本がこれまで維持してきた「専守防衛」を「逸脱すると思う」と答えたのは45.76%で、「思わない」の29.34%を上回った。
反撃能力を「持つべきではない」と答えたのは40.96%、「持つべきだ」は38.75%と評価が分かれた。

専守防衛を逸脱すると考える人の割合が多い中、反撃能力の保有を認める評価が拮抗していることについて、沖縄国際大学の前泊教授は次のように分析する。

▽沖縄国際大学前泊博盛教授:
「反撃能力を持つということはイコール反撃される可能性を高める。そういうことに繋がるということは認識されているので、どうした方がいいんだろうかっていう揺れがここにあるような気がしますね」

いっぽう、FNNが12月に実施した世論調査では、反撃能力を持つべきと答えた人が6割を超えた。

▽沖縄国際大学前泊博盛教授:
「(安全保障を)日本全体の視点で見るのか、当事者として沖縄の住民の側から見るのかでは大きな違いがあると思います。ですから、揺れがあるのはですね日本としてどう考えるのか、でも、当事者の沖縄としては違うよねっていう」

自衛隊が増強されることで沖縄が他国から攻撃される可能性が以前よりも高まっているを聞いた質問では、「高まっていると思う」と答えた人が6割近くに上り、沖縄が再び戦場とならないか懸念が強まっていることが伺える。

▽沖縄国際大学前泊博盛教授:
「国民のなかの多くが傍観者的立場でこれを読んでいる、そして当事者として沖縄だけが戦場になるのはどうしたらいいんだろうかという、そういう危機感を持っているという、そういう温度差が非常に大きく出ていますね」

自衛隊の増強が抑止力の向上に「つながると思う」と答えた人は37.64%。半数近い45.76%が「つながらないと思う」と答えている。
沖縄における自衛隊の今後の在り方については「増強や機能強化を進めるべき」「現状のままでよい」と答えた人は52.03%と半数を超え、「縮小すべき」や「すべて撤去すべき」と答えた37.82%を上回っている。
これを年代別でみると、縮小や撤去すべきと回答した人が60代以上で多かったのに対し、50代以下は自衛隊の増強や機能強化に肯定的な回答が多くみられた。

前泊教授は世代間によっての認識の違いも浮き彫りになったと指摘する。

▽沖縄国際大学前泊博盛教授:
「特に50歳以下と50歳以上の方たちで、台湾有事に関する危機感とか、あるいは自衛隊の役割とか、あるいは日米の連携についても評価が割れるという世代間のギャップがある」「米軍との安保体制、これがかなり沖縄でも定着してるのかなっていう、そんな意識ですね
安保に対する評価が復帰50年間の間に大きく変質してきている様子がこの調査では見えてきますね」
「傍観者として軍事力の増強を是とするという見方と、当事者として軍事力は自分たちの命を守らない、むしろ危険にさらすというそういう判断、この二つがこの調査の中にも浮き彫りになってますね」

抑止力を大義名分とした軍備増強ありきの防衛政策が本当に国民の命を守ることになるのか。日本全体が当事者だという意識を持って議論を深めていくことが求められる。

③建白書提出から10年 500人が国際通り行進

「建白書」から10年 沖縄の基地負担軽減を求め集会

建白書提出から10年 500人が国際通りを行進

「建白書」の提出から10年の節目に、オール沖縄会議が開いた集会には約500人が参加し沖縄の基地負担の軽減を求め声をあげた。

10年前、オスプレイの配備撤回や普天間基地の県内移設の断念を求め、県内41全ての市町村長が署名し、当時の安倍総理大臣に手渡された「建白書」の訴えは届くことなく、オスプレイは普天間基地を拠点に運用され続けているほか、辺野古の移設工事も強行されているとして、参加者は抗議の声をあげた。

▽参加者:
「県民の意思を全く無視した形で一顧だにしない。そういった状況に対して本当に怒りを持っています」
▽参加者:
「軍事だけ、軍備だけ前のめりみたいになって行っている所。前は子や孫たちのためと言っていたが、そんな悠長なこと言っている場合じゃない。自分たちもそこに巻き込まれるのが、本当に恐ろしい」

参加者は国際通りを行進し、建白書の実現を求め声をあげた。

④那覇市で弾道ミサイル飛来想定した避難訓練

弾道ミサイルを想定した那覇市で初の住民避難訓練 「不安募る」と反対集会も

那覇市で弾道ミサイル想定した避難訓練

1月21日、なは市民協働プラザで行われた住民避難訓練は、外国から弾道ミサイルが発射され那覇市内に飛来する恐れがあることを想定して国と県、那覇市が共同で実施した。

防災無線で弾道ミサイルの飛来が伝えられると、参加者たちは職員の指示に従って、施設の地下駐車場に避難して頭を抱えうずくまり、身を守る姿勢をとった。

▽参加した親子:
「学校の訓練とは違ってちょっと緊張して、頭が一番大事なところだから抱えるように言われました」「ただ戦争して欲しくない。実際に起こって欲しくない。避難訓練(をする必要が)ないのがやっぱいいかなとは思います」

▽北谷町から参加した男性:
「台湾有事が迫ってる中で、沖縄はもう必然的に巻き込まれざるを得ないと思ってるので」

ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮と台湾への軍事的な圧力を強める中国。こうしたなかで訓練が行われたことに「住民の不安をあおる」「戦争への準備につながる」などと抗議する人たちの姿もあったた。

▽抗議集会参加者:
「訓練というのはイコール戦争が始まる前提ですよ。どんどんミサイル基地を造れば何かあれば狙われるのは基地です」
「訓練より戦争をしてはいけないというところに那覇市も頑張らないといけないと思う。本当に参加した人たちはミサイル避難訓練をしたから安心したという気持ちで帰っていったのか疑問も残る」

訓練後に会見した知念市長は次のように述べた。

▽那覇市知念覚市長:
「こういう訓練をやって不安にならない方はいないと思います。私はやる意義があったと思っています」

武力攻撃などを念頭に国民保護法に基づき避難場所となっているのは、那覇市内で117カ所。地下施設を備えるのは、今回、避難場所となった「なは市民協働プラザ」と泉崎にある「県庁地下駐車場」の2か所のみとなっている。

これについて、参加者からも指摘する声が聞かれた。
▽参加者:
「避難する地下が沖縄は少ないってのがあって、どこが避難場所かっていうことを知るのも非常に難しくて。まだよくわかってないっていうのが現状ですね」

知念市長と記者とのやりとり:
Q地下施設が2か所しかないが今後増やす考えは?
▽知念市長:
「(すでにある2か所に)プラスアルファ必要なのかというのは今後大がかりな議論になっていくと思います」

県内で弾道ミサイルの飛来を想定した住民の避難訓練は与那国町に次いで2例目。この光景が現実のものとならないよう力を尽くすことが政治に求められています。

⑤沖縄初の女性落語家誕生「決意と目標」

落語家・金原亭杏寿 俳優から転身 噺家としての思い

沖縄初の女性落語家誕生「決意と目標」

沖縄から初の女性落語家となった金原亭杏寿さん。
一人前の落語家と認められる二つ目への昇進を2月に控え、那覇市で落語会が開かれた。
なぜ、女優から転身し落語の世界で厳しい修行の道を選んだのか、噺家としての想いを聞いた。
高校2年生の時に沖縄でタレント活動を始めた杏寿さん。
モデルやドラマ出演など様々な仕事を精力的にこなすなか、次第にある想いが芽生えてきた。

▽金原亭杏寿さん:
「もっと広い世界を見てお芝居もやってみたいという気持ちが強くなって、それである時の段階で東京に行こうと思って上京したのが一番初めです」

東京で女優としての夢に向かって目まぐるしい日々を送りおよそ1年が経過したころ。
その後の人生を一変させる出会いが訪れた。

▽金原亭杏寿さん:
「お芝居を勉強するなら落語は絶対に見たほうが良い、聞いて勉強したほうが良いと(演技の講師が)仰っていて、師匠の独演会に行ったのが最初のきっかけですね」

その師匠こそが落語家・真打ちの「金原亭世之介」

話一つ、所作一つで観客を魅了する落語。
自らもそんな世界に身を置きたいという想いがフツフツと湧き上がってきました。

▽金原亭杏寿さん:
「もし、本当に入門する気があるなら、人生かけてやるならうちで面倒を見てあげると師匠が言ってくださったので」

衝撃の出会いから1ヶ月、杏寿さんは決心して世之介さんの元へ弟子入り。

▽金原亭世之介:
「なんとなくクラブ活動みたいに入ってどうにかっていうのと訳が違うので、そんなんじゃだめだっていう時にはパッと聞いて、すぐ今日は帰れ、お前失礼だと言って(弟子を)
帰すことがありますから、そういうことは(杏寿は)無いですよね、かなり一生懸命稽古してきてるんじゃないですか」

5年以上にも及ぶ厳しい修行を経て、遂に地元の観客の前でその話芸を披露するときが訪れた。

▽観客は:
「元々タレント時代から知っていたので、今どんな感じで活躍されているのかなと楽しみできました」「表情がコロコロ変わるので、色んな演じ分けとか楽しかったですね」

▽高校時代の同級生:
「泣けました」「やっと沖縄で観られたって、彼女の活躍をっていうような感じです」
「もっと沖縄で観たいです」

▽金原亭杏寿さん:
「これから(二つ目として)新しく一歩を踏み出すのに弾みが、みなさんのお陰でついたなとすごく感じています」「落語家全体の中で知っている落語家って誰ってなった時に、私の名前を挙げていただけるように、杏寿の落語好きなんだよねと言ってもらえるような芸が出来るようになるのが目標なので、そこを目指してまた精進したいと思います」

⑥WBC侍ジャパンに県出身3人選ばれる

侍ジャパン 沖縄から3人選出 出身都道府県別で最多

WBC侍ジャパンに県出身3人選ばれる

3月に行われる2023ワールドベースボールクラシックの日本代表選手に、県勢から3人の選手が選ばれた。選手の出身都道府県別では沖縄の3人が最多となる。

▽侍ジャパン栗山英樹監督選手発表:
「宮城大弥背番号29」「大城卓三背番号24」「山川穂高背番号33」

ピッチャーを中心に守りきって勝つ野球を掲げる栗山監督は、WBCの代表としては過去最多の15人の投手を選出し、このうちの一人にプロ3年目の昨シーズン11勝をあげたオリックスバファローズの宮城大弥投手が抜擢された。

その投手陣との連携が重要となるキャッチャーには、打撃面での活躍も光る読売ジャイアンツの大城卓三選手が選ばれた。

そして、高い得点能力でチームを勝利に導く重要な役割を託されたのが過去3度のホームラン王に輝いている埼玉西武ライオンズの山川穂高選手。

山川選手は「大変光栄です。10歳から野球を始めて以来、日本代表にはあこがれを持っていました。夢の舞台で活躍できるよう、そして世界一になれるよう頑張ります」とコメントを発表。

WBCの過去4大会で沖縄出身の選手は一人も居なかったが、今回選ばれた30人の選手を出身都道府県別で見ると沖縄の3人が最多で、沖縄の野球界の発展を印象付ける選考結果となった。

⑦水難事故が過去10年で最多要因は?

死亡者の半数は観光客 沖縄の水難事故 過去10年で最多

水難事故が過去10年で最多要因は?

県警のまとめによると、2022年、県内ではこの10年間で最多となる106件の水難事故が起きた。
シュノーケリング中の事故が28件と最も多く、次いで釣りなどの魚とりが19件。

死亡した人は40人。このうち半数の20人が観光客。

警察は、新型コロナウイルスの影響が落ち着き経済活動が再開していることで、観光客が増えていることが背景にあるとして、観光客への注意喚起を強化することにしている。

また、海や川のレジャーを楽しむ際はライフジャケットを必ず着用するよう呼びかけている。

⑧沖縄署襲撃事件を主導か暴力団構成員を逮捕

【独自】警察署襲撃”主導”か 22歳の暴力団組員を署に連行

沖縄署襲撃事件を主導か暴力団構成員の男を逮捕

2022年1月、男子高校生が警察官と接触して失明したことに端を発し、若者らが警察署で窓ガラスや車両を破壊した事件で、警察は22歳の暴力団組員の男を逮捕した。

暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕されたのは、指定暴力団旭琉會沖島一家の構成員岩下侑夢(22)容疑者。

この事件は2022年1月、沖縄市でオートバイを運転中に男性巡査と接触した男子高校生が右目を失明する大けがをしたことに端を発し、沖縄警察署に集まった約400人の若者の一部が、石などを投げつけ庁舎の窓ガラスや車両を破壊したもの。

警察はこれまでに少年ら7人を暴力行為等処罰法違反の容疑で書類送検していて、捜査を続ける中で岩下容疑者が事件に関与した疑いが強まったとして17日逮捕した。

警察は岩下容疑者が事件を主導したとみている。

関係者によると、岩下容疑者は襲撃事件の後に暴力団の構成員になったという。

また、失明した高校生は岩下容疑者と面識はないという。

高校生が失明した事件では、男性巡査が警棒を持った状態で高校生につかみかかろうとしてけがをさせたとして、2022年11月、特別公務員暴行陵虐致傷の容疑で書類送検されている。

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