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“萌え研究”続けるプロ漫画家語る「二次元ヒロイン像の変遷」 昭和・平成・令和で異なる“理想の女性像”が浮き彫りに
圧倒的美貌→同性の共感も呼ぶ等身大スタイルに 平成期に求められたのは「親近感」
プロから見たタッチの特徴も、時代によって変化は感じるのだろうか。
「作画やキャラデザに関しては、皆がお気づきのように目が明らかに大きくなり、鼻は点のように小さくなりました。多数の人が愛しやすく、好き嫌いの分かれる特徴を消していくと必然的にこうなるんじゃないでしょうか。
でも、『新世紀エヴァンゲリオン』綾波レイなどは目が特別に大きいわけではなくて、模写してびっくりしました。あと、ジブリキャラは、幼さを残すためか、ちょっとデコっぱちで鼻の下が長いのが特徴的なのですが、綾波レイは逆に鼻から口が近いんですよね」
ヒロイン像の転換点は“ラムちゃん”? 主人公との関係性変化「視聴者のナビゲーターに」
「昭和におけるヒロインには、当時の女性に対する理想像は確かにあったように思います。ですが、女子向け作品だと、『はいからさんが通る』の花村紅緒、『キャンディ■キャンディ(■=ハート)』のキャンディス・ホワイトなど、快活で男勝り。食欲旺盛で自分の意思をはっきり持っているような力強いヒロインも当時から多かったですね。
平成期に支持されたヒロインの一人に、『ちはやふる』の綾瀬千早が挙げられる。同作は2009年に『マンガ大賞』を受賞し、22年まで『BE・LOVE』で連載され、アニメ・映画化もされた同作のキャラクターは、男女ともに広く支持された。
「僕もスポ根ものの ザ・主人公!って感じが好きです。彼女のはつらつさ、そして努力・才能。気持ち良く応援できるって強いですよね。少女漫画に距離がある男性でも素直に楽しめるのは、千早のキャラあってのものじゃないでしょうか」
「『SPY×FAMILY』のアーニャは、本当にかわいい。嫌いな人なんています?(笑)。一歩間違えれば“狙いすぎ”になる可能性もあるのに、コメディということもあり、決して嫌味なく受け取れる。多彩な表情に口調など、理由はいくらでもありますが…なんなんでしょうね?やはり仔犬や仔猫的な可愛さでしょうか!?最強です!」
ともに可愛らしく、主人公に“守られる”シーンも多々あるが、自身も高い戦闘能力や特殊能力を持ち、自ら物語を大きく突き動かしていく。決して、“主人公を支える”だけの存在ではない。どこかで“ヒロイン像”を大きく変えるような転換点はあったのだろうか。
「“萌え”は普遍的な感情で、『推し』などと言い方は変わっても、無くなりはしないと思います。とにかく、時代時代で愛され、求められるのは“共感性”だと思います。日本の漫画やアニメは、自由でボーダーレス。現代的な“多様性”をとっくの昔から持っていたのです。本当に素晴らしいですよね。ただ、これだけ語っておきながら、僕はいまだに女性キャラを描くのが苦手です(笑)」