ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS

山田涼介、セリフ一切ナシの恋愛映画に挑戦「そこに熱があれば通じる」 撮影では涙止まらず【インタビュー】

 Hey! Say! JUMP山田涼介(30)主演の映画『サイレントラブ』(26日公開)。山田がラブストーリー映画に初挑戦することでも話題を呼んでいる今作だが、主人公・蒼は声を発することをやめた青年であり、劇中でせりふは一切なし。すべて目や表情、仕草で複雑な感情を表現するという、俳優として新たな扉を開いた作品となった。このほど山田が今作の撮影裏話や役柄への思いなどを明かした。

映画『サイレントラブ』に主演する山田涼介 撮影:山崎美津留(※崎=たつさき) (C)ORICON NewS inc.

映画『サイレントラブ』に主演する山田涼介 撮影:山崎美津留(※崎=たつさき) (C)ORICON NewS inc.

写真ページを見る

【写真】その他の写真を見る


 『ミッドナイトスワン』で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督がオリジナル脚本で描く最新作。主人公の青年・蒼(山田)が心を惹(ひ)かれたのは、目が不自由になり夢が途絶えかけている音大生の少女・美夏(浜辺美波)。「ピアニストになるという君の、美しい夢を叶えたい」。ある出来事をきっかけに声を発することをやめた蒼は、心でそう願いながら美夏とのかけがえのない時間を過ごしていくが…。

■監督からの難解なオーダーに苦戦しながら感覚をつかむ「自分にストンと落ちる瞬間が」

映画『サイレントラブ』メインビジュアル(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

映画『サイレントラブ』メインビジュアル(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

写真ページを見る

――まず台本を読んだ印象を教えてください。

静かさの中に、激しさのある台本。セリフが一切ないので僕はセリフを読むことはなかったし、何が起きているのかを考えながら台本を読むことしかできず、すごく難しいお芝居になるだろうなと感じました。現場では汲(く)み取る力を一番に持っていかなければこの映画は破綻してしまうだろうな、と思いました。

――山田さんはこれまでドラマなど数々の恋愛ものにチャレンジしてきましたが、その経験が生きた部分はありましたか。

これまで演じたのは王子様か、サラリーマン、かわいいおじさん、セミ(笑)と特殊な恋愛ものが多かった。割と一般社会に起きうる恋愛モノはやっていない。起こりうるものとしては今までの経験は活かせないですよね。『カインとアベル』というドラマが一番あるだろうな、と思うんですけど。兄と同じ人を好きになっている(笑)。

――蒼は声を発するのをやめた青年。声をあえて「発していない」のか「発せない」のかという点で、演じ方もだいぶ変わってくると思います。

劇中で、蒼は声を出せないのか、出さないのかは明かしていないんです。割と投げかけてる。あえて声を出してないのか、本当に出ないのかは伏せています。監督と話して、蒼は自分の腐った人生の中で会話をすることをあきらめたようにも見えるし、物理的にも声を出せなくなってしまったようにも見える、どちらとも取れるようなお芝居をしよう、と思って演じました。見た人がどう捉えるかはわからないので、そこも難しいと感じました。

――監督からは「目の奥10センチ」で美夏を見るように、といったオーダーがあったそうですね。

正直、何を言っているんだろう、と(笑)。現場でも本人の前でも『はぁ…』といったくらいわからなかったんです。でも現場で、やっていくとわかるんです。その場ではわからないんですけどこういうことか、と自分にストンと落ちる瞬間があって、そこで意識せずにできるようになりました。

――そのほかにも難解なオーダーはありましたか。

映画『サイレントラブ』に出演する浜辺美波、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

映画『サイレントラブ』に出演する浜辺美波、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

写真ページを見る

オーダーの仕方は独特でストレートではない。割とこっちに委ねているのかな、飲み込むまで時間のかかるオーダーの仕方だったので正直、理解できない人もいるだろうな、といった感じなんです。でもそうも言ってられないので。やってみるとこれのことね、と腑に落ちるんです。あ、これか、これねって。

■ヒロイン・浜辺美波の芝居に感謝「いい出会いだった」

映画『サイレントラブ』に出演する山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

映画『サイレントラブ』に出演する山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

写真ページを見る

――実際に演じてみる中で、声を出さないお芝居をして、気づいたことや自分なりに工夫したことは?

セリフがないというのはすごく字面にすると大変そうだなと思うんですけど、そこに熱があれば通じるんだと今回の役で学びました。僕は普段から『気持ちでカバー』という言葉が好きで、できないんじゃなくてやらないだけだと自分で言い聞かせたりする。そこに熱があれば見ている人に伝わったりする。今回は愛という形を、役を通じて感じました。現場で工夫をしたことではないですが、蒼の恋愛に対して少し不器用なところ、美夏に対して、汚れた手で触ってはいけない…とちょっと拭いてみる仕草とか、現場では自分でアイデアを出してみたり。そういう小さなことはしてみました。

――触れてはいけない手のおずおずした感じなど、手の芝居が印象的でした。

自分の手は汚いと思うと触れられないんです。自分の手を拭いてから触ることもリハで、自分からやってみたらオッケーが出た。蒼として現場にいたから自然とそういう仕草になったんだと思います。けんかでできた傷など、自分が自分で汚してきた手があったので、美夏のきれいな手をみると自然とそうなりました。

――蒼のままでいた現場では、どのように過ごされていたのでしょうか。

あくまで蒼のテンションでずっといたので、ちょっとでもテンションを上げてしまうと蒼でいることが難しかった。なるべくローテンションでいるようにしました。長い空き時間は寝てました。誰かとおしゃべりをすることはあまりなかったです。意識的にそうしていたというよりも、現場の空気がそうだったんです。

映画『サイレントラブ』に出演する浜辺美波、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

映画『サイレントラブ』に出演する浜辺美波、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

写真ページを見る

――今作ではヒロインの浜辺美波さんとは初共演となりましたが、印象はいかがでしたか。

すごく真面目な方だと思います。僕が何かを与えたわけでも受け取ったわけでもないけど、お芝居に対してすごく真摯な方という印象を持ちました。現場を止めても自分の感情を役に落とし込むまで持っていく。それって勇気がいることじゃないですか。それを選んでもやろうとする女優魂や根性はあの若さですごいな、と思いました。

――浜辺さんとの共演シーンで印象に残っていることはありますか。

浜辺さんが旧講堂の階段でつまずいて杖を転がすシーンがあるのですが、つまずき方がわからないと相談してくれました。『アクションお上手ですよね。転び方を教えてください』と。『上手かわからないけどやれますよ』と転び方をレクチャーしました。これが正解かはわからないけどやってみたら『上手!』って(笑)。

――浜辺さんのお芝居に助けられた部分はありますか。

ずっと、ですね。映画を見に来てくれる人に必要な情報は僕より浜辺さんが握っている。それを常にちゃんと自分で模索して正解してくださったからこそ僕も成立できた。ずっと助けていただいていました。やっぱり、納得するまでやろうとされる方なので、浜辺さんでなければできない役であり、自分でなくてはできない役でした。いい出会いだったと思います。

■役に入り込み、カット後も涙が止まらず…「それくらい蒼になっていた」

映画『サイレントラブ』に出演する山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

映画『サイレントラブ』に出演する山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

写真ページを見る

――蒼が、美夏の夢を叶えたいというと思うきっかけとなったのは彼女のピアノを聞いた時だったのでしょうか。

だと思いながら僕は演じていたし、僕が演じる蒼は闇で、美夏は光の住人。自分は追う夢も叶えたいこともないけど、そこに差し込んだ一筋の光である美夏が闇の住人になろうとしているところをどうにか光に戻したい。こんなところにきてはいけないという思いが生まれたのは、旧講堂でピアノの音を聞いてだと思います。その感情の生まれた瞬間を自分的には表現したつもりです。見ている人にどう伝わるかはわからないですが、そこから、この人をちゃんと守らなければという気持ちが生まれたんだと思います。

映画『サイレントラブ』に出演する山田涼介、浜辺美波(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

映画『サイレントラブ』に出演する山田涼介、浜辺美波(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

写真ページを見る

――それをセリフではなく瞳と表情で見せなくてはいけない。

そうなんです。カットされていたんですが、あの場面で実は泣いているんです。監督にいきなりその場で『泣ける?』と言われて…『わからないです』と答えて、でも気持ちをつくったときに泣けたといえば泣けたのですが、映画を見たらカットされていたので…カットすんのかい!って(笑)。

――蒼は、美夏に対して触れてはならない、独特の劣等感を感じます。ただ、どちらかといえば山田さん自身は光の側にいて、多くの人へ手を差し伸べている側だと思いますが、蒼の感情をどのように理解していきましたか。

僕は役に自分を落とし込むみたいなことをしないんです。バックグラウンドでいえば、蒼は孤児院で育って親もいない。それはやさぐれるよなという環境。でもは、美夏と出会ったことで、それが恋なのか、なんの感情かもわからないけど、自分のすべてをかけて守りたいという思いが生まれた。自分にはできないから自分の代わりに弾いてくれ…と。悲しさはありますが、自分とは違うからとは感じなかった。現場にいるときは、蒼だった。光の人たちを見て住む世界が違うんだな、という気持ちになって切なくて。だから現場では、カットかかったあとも涙が止まらなかったシーンがあった。ト書きに泣くとは書いていなかったのに、自然と涙が止まらなくなって撮影ができなかった。感情をずっと入れてたんでしょうね。泣きの芝居のときもカットがかかったあとはケロッとしているタイプなのに。それくらい蒼になっていたんだと思います。

――そこまで入り込む過程はどのように踏んでいったのでしょうか。

わからないです。感覚なんじゃないですかね。もちろん本を読み理解して構築している方もいらっしゃると思いますが、僕は現場で生まれたものを楽しんでやっています。浜辺さんも含めて、和気あいあいとした現場ではなかった。でも、淡々と進めていく中で熱いシーンは熱く、静かなシーンは静かに…スタッフもキャストも共通認識としてあったと思うんです。僕は居心地の良い現場だな、と思いました。

ヘアメイク:二宮紀代子スタイリスト:野友健二(UM)

関連写真

  • 映画『サイレントラブ』に主演する山田涼介 撮影:山崎美津留(※崎=たつさき) (C)ORICON NewS inc.
  • 映画『サイレントラブ』メインビジュアル(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
  • 映画『サイレントラブ』に出演する浜辺美波、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
  • 映画『サイレントラブ』に出演する浜辺美波、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
  • 映画『サイレントラブ』に出演する野村周平、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
  • 映画『サイレントラブ』に出演する山田涼介、浜辺美波(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
  • 映画『サイレントラブ』に出演する山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
  • 映画『サイレントラブ』に出演する山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索