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「地味でも食べないで」毒きのこは派手よりも地味が多い? きのこ衛生指導員が注意喚起

 きのこ狩りシーズンが到来し、厚生労働省では、確実に食べられると判断できない場合は「採らない・食べない・売らない・人にあげない」と毒きのこへの注意を呼び掛けている。長野県で“きのこ衛生指導員”として鑑別相談を行う専門家も「一番怖いのは地味なきのこ。一般の方が見極めるのは困難」とその危険性を指摘する。

毒きのこと言えば、赤×白のド派手な「ベニテングダケ」が有名。でも本当に怖いのは…(写真提供/@takashi_yamada_shimoda)

毒きのこと言えば、赤×白のド派手な「ベニテングダケ」が有名。でも本当に怖いのは…(写真提供/@takashi_yamada_shimoda)

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■環境や標高で変わるきのこ、最近の図鑑でも5年または10年前のものと認識を

 きのこ衛生指導員歴24年。山岳県・長野に生まれ育ち、幼少期より自然に親しんできた下田隆さんは、県内でも知られる“きのこのプロ”だ。長野市から委嘱される“きのこ衛生指導員”は、きのこ狩りシーズンになると、県内各地に設けられた「相談所」にて、持ち込まれたきのこの鑑別相談を無料で行う。下田さんは24年間、野生きのこを鑑別してきた。

――食用か有毒か、きのこ狩り客が野生きのこを見分けるのは難しいのでしょうか。この時期になると毎年、政府による注意喚起があるにも関わらず“毒きのこ”による食中毒事故が発生しています。

【下田さん】 一般の方が野生きのこを見極める事は難しいと思います。きのこは非常に種類が多く、その地域のみの限定種などもあります。また、環境や標高などでも見た目が変わることがあるので、最近の図鑑や本でも5年、10年前のものと捉えてほしいですね。

――厚生労働省では「食用きのこにソックリな毒きのこがある」とも啓発しています。

【下田さん】 皆さんがイメージされている毒きのこといえば、赤い傘に白い斑点を持った「ベニテングタケ」が有名です。ベニテンは童話やアニメ、漫画やゲームなどで使われている代表的なきのこで、見た目やインパクトなどで記憶に残りますが、本来一番怖いきのこは“地味なきのこ”です。

――毒を持つ植物や生物は“警告色”(威嚇や警告のための派手な極彩色)のイメージがありますが、きのこは地味こそ怖い、と。

【下田さん】 そうですね。食用ソックリで地味、でも有毒。だからこそ怖いんです。

――山中で毒きのこか食用か見分けがつかないものを見つけたらどのような対応が望ましいでしょうか。

【下田さん】 まずは採取しない事ですね。近年関東圏などで発生している「カエンタケ」は、触れるだけでも手が爛れる可能性がある猛毒種になります。

――誤食した場合は。

【下田さん】 症状はきのこの種類にもよりますが。腹痛などの身体の痛み、動悸や怠さ、幻覚症状などあります。長野県内での事例ですが猛毒種「ドクツルタケ」を誤食し、数時間で症状が出始め、激しい嘔吐といった胃腸系の症状で救急車搬送。その後、肝臓肥大・黄疸・出血などの症状があったようです。幸いこのケースでは回復しましたが、高確率で死に至るきのこも存在します。

■勝手に採取したら窃盗罪に!? きのこ狩りのルールとマナー

間違えやすいきのこの一例。左・食用のクリタケ、右・有毒のニガクリタケ。(写真提供/@takashi_yamada_shimoda)

間違えやすいきのこの一例。左・食用のクリタケ、右・有毒のニガクリタケ。(写真提供/@takashi_yamada_shimoda)

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――“きのこ狩り”はこれから最盛期を迎えますが、毒きのこ以外の注意点はありますか。

【下田さん】 野生きのこと山野草の共通点として、まずは現地の採取場所は採っても大丈夫なのか確認してください。国有林野での採取は禁止ですし、その他の山々もほとんどの土地には所有者がいます。許可なく採取し、所有者から通報されると窃盗罪となります。

2つ目は、事故や怪我のリスクを減らす為の服装と備品です。ぜひ長袖、長ズボンを着用してください。虫刺され防止とともに、山中には触れただけで被れる野草が生えている可能性があります。黒い服や香水の香料は蜂やアブ、虫を寄せつけるので使用しない。ハイキングシューズや長靴、軍手やタオル、帽子も忘れずに。

3つ目は、基本単独行動は避ける事。常に居場所を確認出来る地図アプリを活用してください。森は動物達の生活圏です。早朝や夕方からの入山は遭遇リスクが上がる為、控えるのが正解です。

――ルールとマナーを守ってこその行楽、と。

【下田さん】 そうですね。きのこ狩りは、ここ数年、「胞子活動」「菌友」など言葉を変えて楽しまれ、レジャー人口も増加傾向にあると感じています。そんな今だからこそ、改めて山中のルールやマナーを学んで欲しいと思います。

また、きのこ狩りは、必ずしも遠出の必要はありません。ぜひ、肩肘張らずにお近くの公園や里山にお出掛けください。普段見慣れた場所も目線を変えれば、さまざまなきのこ達が見れると思います。地面から出ていたり、木から出ていたり…時には昆虫の死骸や、きのこから他のきのこが発生といったことも。これまで知らなかった世界に出会えると思います。

関連写真

  • 毒きのこと言えば、赤×白のド派手な「ベニテングダケ」が有名。でも本当に怖いのは…(写真提供/@takashi_yamada_shimoda)
  • 間違えやすいきのこの一例。左・食用のクリタケ、右・有毒のニガクリタケ。(写真提供/@takashi_yamada_shimoda)
  • 間違えやすいきのこの主な例。(C)oricon ME inc.
  • 下田さんの推しきのこ1位、”黄色”の「ベニテングダケ」(写真提供/@takashi_yamada_shimoda)
  • 下田さんの推しきのこ2位、真っ暗な山中で光る「ツキヨタケ」(写真提供/@takashi_yamada_shimoda)
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